先日、2輪モータースポーツを統括するFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が、新しい電動モータースポーツのシリーズ戦を開始することを公表しました。男女のライダーがチームを組んで、世界5ヵ国で競い合う・・・という「FIM E-エクスプローラー・ワールドカップ」は、2022年度が最初のシーズンとなります。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年7月9日に公開されたものを転載しています。

2010年から電動バイクのモータースポーツをスタートさせていたFIM

ICE(内燃機関)車最速を競うMotoGPなど多くの世界選手権を統括するFIMは、2010年から現在の2輪EVのロードレースシリーズであるMotoEの前身である「FIM E-パワー インターナショナル チャンピオンシップ」をスタートさせています。

MotoEのほか、FIMトライアルEワールドカップやFIM E-Xバイクワールドカップなど、FIMは2輪EVのモータースポーツカテゴリー開拓に熱心ですが、これは近い将来に2輪EVの普及が加速されるということを考えれば、FIM的には2輪EVモータースポーツ創設に熱心に取り組むのは、当然の対応ということなのでしょう。

男女がチームを組んで、一緒に競うという点がユニークですね!

2022年からスタートすることが予告されている「FIM E-エクスプローラー・ワールドカップ」は、FIMの認可を受けてバレンティン・ギヨネがCEOとして運営。マーケティング/イベント開発者として著名な女傑、カリーナ・ムンテがCCOを担当します。

そしてエクストリームEのCEOでフォーミュラEおよびE1シリーズ会長であるアレハンドロ・アガグと、レッドブル・ストレートリズムのプロモーターであるエリック・ペロナールが同イベントをサポートするとのこと。すでに実績ある有名イベントの主催者たちが、ガッチリ脇を固めるわけですね。

画像: FIMのE-エクスプローラー・ワールドカップのウェブサイトには、EM=エレクトリックモーション(左)とKTMのマシンが登場していますが、初年度のルールでは100%電動のオフロードバイクで、最大130kgであることが規定されています。 www.fimexplorer.com

FIMのE-エクスプローラー・ワールドカップのウェブサイトには、EM=エレクトリックモーション(左)とKTMのマシンが登場していますが、初年度のルールでは100%電動のオフロードバイクで、最大130kgであることが規定されています。

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現在明らかになっているFIM E-エクスプローラー・ワールドカップの概要は、米国やスイスなど世界5ヵ国で競技を開催。都市部と大自然のアウトドアをミックスしたイベント会場は、自然環境への影響を最小限に抑えることを重視して、設定されることになります。

参加チームは10チームで、実績あるレースチームから選ばれることになります。非常にユニークな試みなのが、1チームそれぞれ2名、男性と女性がチームを組むことが規定されていることです。なお使用する車両は100%電気モーターを動力とするオフロードバイクで、最大重量130kgであることがレギュレーションになるようです。

画像: 男性と女性がペアでチームを組む・・・というレギュレーションは、従来の世界戦にはないユニークな試みです。 www.fimexplorer.com

男性と女性がペアでチームを組む・・・というレギュレーションは、従来の世界戦にはないユニークな試みです。

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競技内容は区間タイムを競うタイムトライアルとヘッド・トゥ・ヘッド・・・つまり競り合いということですから、同時スタートで着順を競う形式なのでしょう。おそらく、エンデューロ競技のフォーマットに近いものになると思われます。

果たしてどのような10チームが参加し、どんなライダーたちが参加することになるのでしょうか?ぜひ日本からも参加チームがあることを期待したいですが・・・そのラインアップが明らかになる日を、楽しみに待ちたいです!!

画像: ICE車で入ることが許される森林は世界的に減少傾向が加速しており、オフロードファンの悩み事のひとつとなっています。その点、環境へのインパクトが比較的少ないEVのオフロードバイクは、環境保護とオフロード走行の楽しみを両立する方策としても、業界から非常に期待されています。 www.fimexplorer.com

ICE車で入ることが許される森林は世界的に減少傾向が加速しており、オフロードファンの悩み事のひとつとなっています。その点、環境へのインパクトが比較的少ないEVのオフロードバイクは、環境保護とオフロード走行の楽しみを両立する方策としても、業界から非常に期待されています。

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新たなモータースポーツファン層、2輪ファン層の発掘にも期待したいですね!

ICE搭載2輪車の愛好家には悲しい現実ですが、世の中には排気ガスと騒音を発生する乗り物を毛嫌いする人の数が少なくありません。また、遊びのために自然環境破壊をする行為として、オフロードライディングに眉をひそめる人も少なくないです。

ICE搭載車に比べると2輪EVは一般論として、比較的環境に直接与えるダメージが少なく、騒音も少ないのが特長です。近年は世界的に、環境保護に対する意識が高い若者が増加していますから、ICE搭載車には興味のない若者層にも、2輪EVであれば魅力を感じてもらえる可能性も高いでしょう。

画像: ガソリンを燃料として使わず、油脂類による定期的な潤滑がファイナルドライブのチェーンやアクスルシャフトなど限られた部位で済む2輪EVは、一般論としてICE搭載車より洗車や整備などが楽です。既存のEVオフロード車ユーザーの多くは、そのあたりをEVを選ぶメリットのひとつとしてあげることが多いですね。 www.fimexplorer.com

ガソリンを燃料として使わず、油脂類による定期的な潤滑がファイナルドライブのチェーンやアクスルシャフトなど限られた部位で済む2輪EVは、一般論としてICE搭載車より洗車や整備などが楽です。既存のEVオフロード車ユーザーの多くは、そのあたりをEVを選ぶメリットのひとつとしてあげることが多いですね。

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2輪EVの普及とともに、新しい層の2輪ファンを獲得する・・・それをテーマとして意識しているメーカーや業界関係者は多いでしょう。2022年からスタートするFIM E-エクスプローラー・ワールドカップが、そのテーマ実現の一助になってくれることを期待したいですね!

画像: 【動画】Introducing FIM E-Xplorer World Cup www.youtube.com

【動画】Introducing FIM E-Xplorer World Cup

www.youtube.com

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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