文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸、森 浩輔
ヤマハ「トレーサー9 GT」の特徴
「R1マスク」になって走りも個性もアップデート
MT-09のフルモデルチェンジに合わせて同時に新型となったオールラウンド・スポーツツアラー、トレーサー9。国内仕様は上級グレードの「GT」のみの設定となるが、このGTはシリーズの中で歴代最高と言うべき豪華な内容となっている。
888ccにスープアップされたエンジンはMTと共通だが、フレームはMTベースではあるが専用チューニングが施され、リアフレームやスイングアームは専用品。サスペンションには待望の電子制御が導入され、トラコン、ウイリーコントロール、スライドコントロール、ブレーキコントロール、クイックシフターなどのライダーエイドも充実。最新アイテムフル装備の仕様でパフォーマンスを飛躍的に高めている。
トレーサー9 GTのライバルはズバリこの2台!
間口の広いスタンダード
このセグメント内で最も近い存在。兄貴分のS1000XR譲りのスポーティテイストでまとめられた快速ツアラーだが、街乗りも峠もソツなくこなす、間口の広いスタンダード。
充実の本格アドベンチャー
名車「DR-BIG」を思わせる直線基調のスタイリングを持つ本格アドベンチャー。電子制御アシストを満載した「S.I.R.S」を採用し、走りにも扱いやすさにも磨きがかかった。
ヤマハ「トレーサー9 GT」・BMW「F900XR」・スズキ「Vストローム1050XT」キャラクター比較
スポーツ性、快適クルーズのどちらを重視するかがカギ
トレーサー9は直接バッティングするライバルの少ない個性派モデル。今回は同価格帯で手に入るツーリングモデルをあえてライバルとしてみた。
F900XRは排気量も近く、スポーツテイストをウリにしたNK派生のツアラーというコンセプトも同じ。電制サスのESAを搭載しても価格はトレーサーGTより若干安いが、走りのキャラは万能スタンダード寄りの味付け。
Vストローム1050はれっきとしたアドベンチャーだが、高級モデルのXTを選んでも価格差が少なく、快適ツーリング志向なら比べる価値あり、ということでノミネートした。
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ヤマハ「トレーサー9 GT」・BMW「F900XR」・スズキ「Vストローム1050XT」|スタイリングチェック
ヤマハ「トレーサー9 GT」
全長×全幅×全高:2175×885×1430mm
シート高:820⇔835mm
まるでYZF-R1のような、モノフォーカスLEDヘッドライトを新採用。その上部にあるライトはLEDポジションランプとコーナリングランプで、コーナリングランプは車速約5km/h以上、バンク角が7度以上で点灯する。シートはダブルステッチ入りの豪華仕様だ。
BMW「F900XR」
全長×全幅×全高:2150×860×1320-1420mm
シート高:825mm
兄貴分のS1000XR譲りのフォルム。日本仕様の中心グレード「スタンダード」は775mmのローシートを標準装備、ダイナミックESAを装備する上級グレードの「プレミアム」はシート高825mmとなる。
スズキ「Vストローム1050XT」
全長×全幅×全高:2265×940×1465mm
シート高:850mm
往年の名機「DR-BIG」をモチーフとしたスタイリングも大きな魅力のひとつ。XTは電子制御デバイスパックである「S.I.R.S」や前後スポークホイールを標準装備する上級グレードだ。
ヤマハ「トレーサー9 GT」・BMW「F900XR」・スズキ「Vストローム1050XT」|エンジン・フレームチェック
ヤマハ「トレーサー9 GT」
インジェクターの位置まで変更し、優れた燃焼効率を実現した888㏄エンジンは120PSを発揮。フレームはMT-09をベースにチューニングを施したもので、専用設計のリアフレームとボックス構造のスイングアームを装備。
BMW「F900XR」
894ccのDOHCツインは270度クランクや鍛造ピストンを採用し、105HPを発揮。スチール製のブリッジフレームはスポーツNKのF900Rと共通で、エンジンを強度部材の一部とした構造。
スズキ「Vストローム1050XT」
1036ccの排気量を持つスズキの傑作Vツインユニットは伸びやかなパワー特性が魅力。スポーツバイク顔負けの高剛性を誇るアルミ製ダイヤモンドフレームは安定感ある走りに貢献。