文:中村浩史/写真:渕元智信
スズキ「バーグマン400 ABS」インプレ・解説(中村浩史)
ビッグスクーター新しい領域へ!
一時期、あんなにあちこちを走り回っていたビッグスクーター、今はほとんど見かける機会が少なくなった。いつでもどこでも誰とでも、荷物の有無も服装もクツの種類も問わない全天候型に近い乗り物、ひととおり行き渡って、需要も人気も一周したのかな。
スズキは、ビッグスクーターの主ブランドだった「スカイウェイブ」がバーグマンに改称され、現在では200/400のみのラインアップ。あれだけ爆発的人気だった250は、もうない。
2017年に誕生したバーグマン400は、このモデルチェンジで新規排ガス規制に対応。最大のトピックはトラクションコントロールの新採用。これは雨の日や砂が浮いている路面で、どかんとアクセルを開けたときなど、万一の時に対する安全装備。転ばぬ先の杖だが、装備するに超したことはないと思う。
久々に乗る400スクーター、低回転からアクセルのツキがよく、一時期言われていた「ギアつきバイクほどきびきび走れない」とか「ビッグスクーターの動きはもっさり」ってイメージはない。
さらに400ccならではのメリットで、高回転が良く伸びる! 高速道路で120km/hクルージングすると、回転数は7000回転あたり。まだまだスピードも伸びそうだし、そのスピード域でもビシッとした安定感がある。
今回の取材で、約500kmほど走ったけれど、やっぱりビッグスクーターは、ちょっと近くのコンビニまで出かけるにも、片道100kmなんて距離を走るにもいいという、守備範囲の広さがある。
特にボディサイズも250クラスの大きさだから、ビッグスクーターの「ヘビーさ」を感じることも少ないだろう。
650も250もなくなってしまった後の400。それは、650のパワフルさがあって650ほどヘビー級じゃない。250の身軽さがあって、250のアンダーパワー感がない。それが新時代ビッグスクーターの答だ。
そしてスズキが注力したのは、バーグマンの「質感」。幅広い層のライダーが乗る乗り物だからこそ、カッコよくオシャレに乗ってほしい、という思いから、スタイリングに磨きをかけて、ラグジュアリーなクーペを目指した。
「今日バイクで来たんだ」って言っても信じてもらえないような、シュッとしたライダーに乗りこなしてほしい。