文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年9月2日に公開されたものを転載しています。
BMWらしさ・・・をあまり感じさせないのがデザインの重要ポイント?
BMWはコンセプトCE 02を、古典的なモーターサイクルともスクーターとも異なる、電動の乗り物のコンセプト・・・と定義しています。そしてBMWは、CE 02の外観はBMW製2輪らしいところはほとんどなく、全く新しいものになっている・・・とも主張しています!
確かに、既存のBMW製2輪に対して多くの人が思い浮かべるイメージは、「質実剛健」みたいなカタイ感じのものでしょう。それに対してコンセプトCE 02のスタイリングは軽快感やポップさを見る者に与えるものであり、斬新なものを目指したというBMWの狙いは、成功していると言えるでしょう。
コンセプトCE 02の活躍の舞台として設定されるのは都市環境のなか・・・ですが、コミューターとしての実用性だけでなく、若々しいプロポーションにすることで新しいターゲット層にリーチできることを、念頭に置いて意匠がまとめられたそうです。
エドガー・ハインリッヒ(BMWモトラッド デザイン責任者)
「わかりやすい使い勝手も重要ですが、何よりもライディングの楽しさというエモーショナルな要素が重要でした」
ずばり、コンセプトCE 02が掘り起こそうとしているのは、2輪には乗ったことはないが、新しい経験やスマートなテクノロジーに触れることに積極的で、モビリティと楽しさを組み合わせることに前向きな16歳以上の若者たち・・・。彼らのハートをキャッチすべく、スタイリッシュさを追求したのがコンセプトCE 02のスタイリングなのです。
最高速度は90km/h、航続距離は90kmとコミューターとしての実力は十分!!
公表されている諸元によると、コンセプト CE 02にはEUのA1ライセンスで運転できる11kWの電動モーターを搭載。停止状態からすぐに全トルクを発生する特性により、信号待ちから素早い加速を可能にしています。そして最高速度は90km/hで航続距離は90kmであり、都市部での使用を想定すると十分な速さと走行レンジを確保していると言えるでしょう。
フラットなシートは、2021年7月に公表されたCE 04にも通ずるものがありますが、コンセプトCE 02はCE 04よりもコンパクトで、見た目にも低重心さがより伝わるデザインになっています。そのシート前部とフレームの間のスペースは、小さい荷物の収納部に設定されています。
コンセプトCE 02の世界観は、こちらの動画で知ることができます
BMWはコンセプトCE 02に合わせたアパレルも用意しており、このアイテムも非常に興味深い技術を盛り込んでいます。GRDXKN®という技術は、プロテクション機能をプリントで与える!! もので、耐摩耗性と衝撃吸収性に優れていることをBMWは主張しています。
コンセプトCE 02は車両単体でも魅力的なデザインですが、カラースキームを控えめにすることで、ライダー自身が個性をアピールするプラットフォーム・・・であることを意識しています。ステッカーやラインテープなどで、自分好みの1台に仕上げて楽しむための「隙」をあえて残しているデザインであると、BMWはその意図を説明します。
スケボーカルチャーを強く意識した2輪といえば、ホンダが2001年に発売したズーマーがありますが、確かにメーカーが意図したとおりにその車体にスケボーを差し込み、ズーマーを愛用するカスタマーは現れました。
目論みどおり、CE 02の市販版が若者たちから支持されるかどうかは・・・今は神のみぞ知るでしょう。ただ、どちらかといえばオトナ向けブランドと見られているBMWが、大胆に若者にアピールする電動モデルを打ち出したことは大いに評価したいですし、その成功を期待したくなりますね!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)