2021年3月にモデルチェンジを受けた、ホンダ製リッターオーバー・ネイキッドスポーツのフラッグシップであるCB1000R。リリース文に記された変更点は多くはないが、本当のところどれだけ変わったのか? 伊藤真一さんが徹底的にチェック!
談:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川 忍

サーキットを走らなくても、リッタースーパースポーツ並みの性能を満喫できる

新型CB1000Rは新たに、ミシュランのタイヤを履いていました。2020年に試乗したモデルはOEMタイヤがダンロップでしたが、ミシュランとダンロップのケース剛性の違いも、新型の走りのフィーリングの違いに影響しているのでしょうね。

一般にダンロップの方がケース剛性は高めで、ミシュランは硬い箇所と柔らかい箇所の差が大きいです。そのためミシュランは、そのモデル固有のハンドリングのキャラクターがちょっと薄れる傾向があります。新型の走りの個性がオーソドックス寄りに感じたのは、タイヤの影響もあるのかもしれません。

2018年に試乗した最初期型はブリヂストンを採用していましたが、社内コンペでいろいろ試して新型ではミシュランに決めたのでしょう。このタイヤの選定についても、開発者の人たちがCB1000Rのハンドリングを高めるために、常に試行錯誤して最善を追求していることがうかがえる気がしました。

画像4: ホンダ「CB1000R」インプレ(談:伊藤真一)

フロントフォークはショーワ製SFF-BPを採用しています。左側は減衰機構とスプリング、右側にはスプリングのみを与えているのがその特徴です。

注意深く意識すると左右それぞれの動きに違いを感じ、街中を走行するときは低速時にギャップを拾う感覚もありますが、CB1000Rの良さが光る高めのスピードレンジでは非常に良い動きをします。前後のブレーキについては従来型から印象が変わることはなく、タッチも効きも非常に良かったです。

CBR1000RR-Rのようなスーパースポーツは、サーキットを走ってみてのラップタイムとかはっきりした判断基準がありますが、CB1000Rのように公道で楽しむネイキッドスポーツは、判断基準をどこに置くか…そういった開発の難しさがあります。

新型CB1000Rはその点で、走りや造りのクオリティを上手く高めていると感心しました。常に目に入るディスプレイを、今回上質なものにアップグレードしたことも素晴らしいです。AndroidスマホとのBluetooth接続による連携を導入したことも、新型CB1000Rのセールスポイントですが、諸々の改良を施したにも関わらず、従来型からの価格アップ幅を3万円くらいに抑えているのも、嬉しいポイントだと思いました。

新型CB1000Rは、CB-Rシリーズのフラッグシップモデルとして、好ましいモデルチェンジをしたと思います。スーパースポーツの動力性能を、普段の暮らしの中で楽しめる稀有な1台と言えるでしょう!

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