旧車でも現行車と走るための配慮を凝らす

純正塗装パターンを元に、ベースカラーのライムグリーンもメタリックでアレンジし、シャープ感を増したカワサキZ1000R。ACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCMによる1台で、シリアルナンバーは533となっている。

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「この車両はZ1000R2がベースで、RCMの手法に沿って前後17インチ化しています。リヤタイヤもワイド化しますからチェーンラインはオフセット、各部補強やステム変更も行っていますが、その上でビキニカウルもフレームマウント化しています。これによってカウルやメーターなどの重さはフロントまわりでなくフレームが負担しますから、ハンドリングは軽快になります。言わば、17インチの走りをもっと純粋に味わえる仕様ですね」

ACサンクチュアリー・中村さんは言う。Z1000J/R系では左後ろエンジンマウントボルトが曲がりやすいのだが、これもゼファー1100純正の構成を参考にして、フレーム側ブラケットを新設して対応した。こうした対策や先述の加工は、RCMに求められる要素そのものだとも。

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「空冷Z系を中心にした旧車は、このJ/R系も含め、ビンテージとして希少性や資産的な目的で相場が高騰しています。でもRCMはそこではなく、憧れというか格好いいバイクという見方で空冷Zを捉え、それに現代ハイグリップタイヤを履いて走り味を楽しむことをテーマにしています。XJRやZRX、Z900RSといった今のバイクと一緒に元気よく、遅れることなく走れる。そんな走り味を安心して楽しんでほしいんです」と中村さん。

希少性ではなく、あくまで走り味。このZ1000Rは各部に施された工夫や手法をバックグラウンドに、それを端的に表した1台と言っていいだろう。

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フレーム前端、ステアリングヘッドパイプ部からステーを伸ばし、ビキニカウルをマウント。メーターは左に速度計を置き、中央にスタック回転計、右に同燃料計を配置。ハンドルバーはPOSHスーパーローバーでフロントブレーキ/クラッチのマスターはブレンボRCSだ。

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シートは純正シートベースを使って張り替えている。外装はZ1000R2純正パターンを生かしつつ、ベースカラーをメタリックとした。

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エンジンはヴォスナーφ72mm鍛造ピストンで[純正値:998→]1075cc化。クランクは芯出し、ミッションはドッグクリアランス精密シム調整、クランクケースのポンピングロス加工やオーバーサイズバルブガイド入れ替えやガンコート仕上げ外観等、RCMメニューを網羅する。

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左後ろのエンジンマウントはフレームの内側にブラケットを新設し、短いボルトで留めてチェーンの引っ張りによる曲がりを対策したという。

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キャブレターはTMRφ38mm、排気はナイトロレーシング・ウエルドクラフトチタン+同グレネードチタンサイレンサーV-3を組み合わせる。

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フロントフォークはオーリンズRWUの同店E×Mパッケージ。ステムはスカルプチャーφ43mmSPステムのゼファー1100用で、オフセットは60→35mmとして17インチに合わせる。フロントブレーキはブレンボCNC・4ピストンキャリパー+RCMコンセプトφ320mmディスクの組み合わせ。

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リヤブレーキはブレンボCNC2ピストンキャリパー+サンスターφ250mmディスク。リヤショックはオーリンズ・ブラックラインだ。

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スイングアームはスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアーム。前後ホイールはO・Zレーシングのアルミ鍛造、GASS RS-Aで[純正値:1.85-19/2.50-18→]3.50-17/5.50-17サイズ。ドライブチェーンはEK530RCMでリヤスプロケットはサンスターで、タイヤはピレリ・ディアブロを履く。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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