文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ヤマハ「シグナス グリファス」インプレ(太田安治)
クイックで小気味よい「シグナスらしい」一台
ヤマハの原付二種スクーターには、3輪のトリシティのほかに高級感漂うNMAX、扱いやすさと低価格がポイントのアクシスZ、スポーティな走りで人気のシグナスがある。このシグナスグリファスはシグナスXの実質的な後継モデルで、ブルーコアと呼ばれるVVA(可変吸気バルブ)装備の水冷エンジンと新作のフレームを採用している。
新型エンジンの良さは走り出した瞬間に判る。遠心クラッチが繋がり始めるのは1200回転あたりで、停止状態からの動き出しが穏やか。逆に減速時は15km/hあたりまでエンジンブレーキが効く。これによって遠心クラッチ+Vベルト変速のスクーターが苦手な極低速域での速度調整がしやすく、市街地での扱いやすさはトップレベルになった。
全開加速では6000回転台を使って速度を乗せる。50km/hまでの到達時間が短く、交通の流れを楽々とリードできるうえ、6000回転以上の伸びもシグナスXより明らかに力強い。8000回転を超えても重ったるさが出ずに伸びていき、シグナスXのスポーツ性を損なわず、力強さが底上げされているのが感じられる。これは大きな魅力だ。
ハンドリングは乗り心地よりも機敏さを大切にしている印象。前後サスペンションのスプリングが硬めなうえにライダーを含めた重心位置が高く、操作に対してクイックに反応して軽く鋭く向きを変える。こう表現すると神経質な操縦性を想像するかも知れないが、実際はタイヤの接地感がしっかり伝わってくるので攻めやすく、いつのまにかコーナリングスピードが上がっている感覚だ。
このスポーティなハンドリングと引き換えに、路面の荒れた部分では衝撃が強めに伝わるから、乗り心地はハード。運動性能の高さよりも快適さを大事にしたいライダーならNMAXを選んだほうがいいだろう。
最新モデルらしく、実用装備も充実。フロントパネルには500mlのペットボトルが収まるポケットとUSBソケットを装備し、給油のたびにシートを開閉する手間がないフロントの給油口も継承されている。シート下は約28L容量で、ヘルメットに加えてレインウエアも楽々と収納可能。液晶メーターは日中の視認性が今ひとつだが、機能は充分だ。
単なる移動の足ではなく、スポーツ性を求めたいライダーに、適しているのがシグナス。このグリファスもそんな「シグナスらしさ」が継承されている。
ヤマハ「シグナス グリファス」カラーバリエーション
ボディカラーは通常モデルで4色ラインアップされている。さらにヤマハのロードレース世界選手権参戦60周年を記念した「WGP 60th Anniversary」を1000台限定で用意。こちらは税込36万8500円で、2022年2月24日に発売。
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