文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
右手は電熱グローブのみ、左手はグリップヒーターのみ
どっちが暖かい⁉
ポイントは「暖かさ」と「持続力」
グリップヒーターの歴史は長く、50年以上前から実用化されている。エキパイ熱やオイル熱を利用するものも登場したが、現在使われているのは車体側から電源を引いてグリップ内蔵の発熱体を暖めるタイプだ。
電熱グローブも車体側から電源を取るタイプから始まった。しかし、乗り降りのたびに配線を着け外しする手間があることから一般のライダーには普及せず、電池の性能向上と共に内蔵バッテリー式が主流になっている。
グリップヒーターの最大の特徴は一度装着してしまえば電源の心配が要らないこと。冬専用の装備というイメージだが、僕は10月頃から5月頃まで使っている。発熱体内蔵によってグリップ径が太くなり、以前は握り心地が変わることが欠点とされていたが、現在の製品は発熱体と製法の進化で通常のグリップとほとんど変わらない握り心地になっている。
対して電池式の電熱グローブは配線や取り付けが不要で、車両を乗り換えてもそのまま使える。弱点は冬用グローブベースなので保温用の中綿が厚く、操作感が鈍ることだ。
結局どちらを選ぶべきか、現実に即したテスト結果を参考にして欲しい。
テスト方法
電熱グローブは右手を最高温度に設定し、左手はオフ。反対にグリップヒーターは右側の配線を抜いて左側を最高温度に設定。夜の高速道で冷たい走行風を浴び、停止直後に業務用サーモカメラで暖まりの違いを計測した。
計測に使用するサーモカメラはこちら
インフレック R450Pro
サーモカメラの国内トップメーカー「日本アビオニクス社」が開発した高画質・高精細な熱画像撮影が可能な「インフレックR450シリーズ」のフル機能モデル。
測定温度範囲はマイナス40℃〜1500℃をカバーし、時系列データの計測を行うR&D分野や、常温から加熱して連続的な温度変化を観察するような溶接時の蓄熱・放熱のプロセス解析などにも対応する。
[協力] 日本アビオニクス株式会社
テストしたアイテム
グリップヒーターと電熱グローブの人気モデルでテスト!
グリップヒーターの開発と製造を長年続けているのがキジマ。今回は使いやすさと耐久性に定評があるGH07をチョイスした。
電熱グローブ代表はインナージャケットを含めた『e-HEAT』シリーズが好評のアールエスタイチの最新モデル、RST639。どちらも用品量販店、web販売の両方で高い人気を博している製品だ。
握り易いスリムなグリップで温度調節は5段階から選択可能
スイッチ一体タイプで、温度調整は5段階。最強設定では約90℃まで発熱する。
グリップ横のLEDインジケーターは5色で温度レベルを表示。グリップ部分は耐候性、耐久性に優れたゴム材を使用することで通常のグリップと同等の握り心地を実現している。
オープンエンド、クローズエンドのどちらにも対応することで幅広いモデルに装着できる。
ハードプロテクターを配したスポーティなデザインの電熱グローブ
車両接続ケーブルによる12Vまたは7.2V専用モバイルバッテリーを組み合わせて使えることが特徴。
12V電源接続時は素早く発熱するターボモードも使用できる。温度調節は3段階でハイパワーはレッド、ノーマルはオレンジ、エコノミーはグリーンで表示する。
グローブを装着したままスマートフォン等の操作ができるだけでなく、プロテクターも装備するので安全性も高い。