文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
テスト結果
指先の温度に注目!
同じ電熱の力を使っていても、ヒーター(発熱体)の配置がまったく異なるので暖まり方には大きな差がある。サーモグラフによる温度分布だけで判断せず、体感的な暖かさと操作性を検証してみよう。

手の甲
左が電熱グローブ、右がグリップヒーター

手の平
左が電熱グローブ、右がグリップヒーター
総合的な暖かさでは電熱グローブの勝ちだが…
サーモ画像で明らかなように、指先の暖かさは電熱グローブの圧勝。温度分布の違いはヒーターの配置によるものだ。
電熱グローブは5本の指を囲むようにヒーターが配置されているため、スイッチを入れると手全体が暖まってくることを実感できる。

ヒーターは手の甲部分と、5本の指の側面をぐるりと囲むように配置されている。外側のプロテクターが赤外線を遮っているのでサーモ画像には表れていないが、体感的には手全体が均一に暖かい。
対してグリップヒーターはグリップを握ったときに圧倒的な暖かさを感じるが、指先を暖めるまでには時間がかかり、ブレーキ/クラッチレバー操作で指を伸ばすと指の裏側が走行風を受けて冷えてしまう。
サーモ画像は一般道に降りてすぐに撮影したが、レバー操作の多い市街地走行後で比較すればもっと差が付くだろう。
だが単純に「電熱グローブの勝ち!」とは言えない。
RSタイチのホームページには「バッテリー持続時間はハイパワーで約3時間30分」と書かれている。つまり充電タイミングを意識する必要があるのだ。対してグリップヒーターならエンジンが動いている限りバッテリー上がりを心配する必要はない。

▲グリップヒーターは絶対的な発熱量の大きさが最大の武器。走行中にハンドルから手を離すことなく設定温度を切り替えられることもメリットだ。写真のバックが黄色いのはエンジンの熱によるもの。
結論
暖かさを取る!? それとも、操作性優先か…
サーモ画像による検証で、手全体の暖かさでは電熱グローブのほうが優れていることが判った。だがバッテリー切れを心配することなく連続使用できるのはグリップヒーター。
そしてもう一つ重要なのが「操作性」の違い。電熱グローブ着用によって操作性が鈍ることも知っておこう。
▲グリップヒーターは車体から電源を取れるので発熱量が大きい。最高温度に設定すると素手では触れなくなるほど。ただし暖かさが直接伝わるのはグリップに接する手のひら側だけ。走行風を受ける指先と手の甲は厚手の中綿に電熱が加わるグローブのほうが暖かい。
グリップヒーターの根強い人気の理由とは?
今回は暖かさを比較するために左右同じグローブを着けてテストしたが、電熱グローブを含めた冬用グローブを着けることでレバーやスイッチの操作性が悪化し、手から受け取る感覚が鈍ることを嫌うライダーは少なくない。
僕もそのひとりで、外気温が10℃を切らない程度ならグリップヒーターに3シーズングローブという組み合わせ。さらに気温が下がって指先の動きが悪くなったり、操作性と感覚の鈍りが気にならない高速道路クルージングではグローブを冬用に換える。

速度域が低く、レバー/スイッチ操作を頻繁に行う市街地走行ではグリップヒーターにメリットが多く、高速道路や郊外道路のクルージングでは指先の冷えに応じて温度レベルを切り替えられる電熱グローブの暖かさがありがたい。
手を冷やさないという目的こそ同じだが、電熱グローブとグリップヒーターはまったく異なるアイテム。暖かさだけではなく操作性、手軽さ、導入コストなどを考慮し、使用環境に合わせて選択するのが賢明だ。
それぞれ一長一短の個性が光る

▲青が電熱グローブ、赤がグリップヒーター
電熱グローブの特徴
① 指先、手の甲まで暖かい
② 取付け作業がない
③ 充電式と有線式がある
④バッテリーが重い
指先の暖かさは圧倒的に電熱グローブが有利。車体への取り付けや配線が不要なので手軽だが、充電時には内蔵バッテリーを着脱するため手間が掛かる。
操作性の点が低いが、これは電熱なしのウインターグローブでも同じだ。
グリップヒーターの特徴
① 電源オンでいつでも作動
② リーズナブルな価格帯
③ 取り付け作業・工賃が必要
④ 指先・手の甲が冷えやすい
製品価格は電熱グローブよりかなり安いが、ノーマルグリップと交換し、電源を取る必要があるので取り付けのハードルは高め。
操作性はノーマルとほとんど変わらないが、やや太さを感じる製品もあるので『4』とした。