文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)/写真:BMW ※車両の写真は海外仕様
※この記事は「ロレンス」で2022年2月17日に公開されたものを一部編集し転載しています。
2025年には、別のセグメントの電動モデルが市場投入されるかも!?
SF映画に登場するような、未来感あふれるデザインをもつCE 04のコンセプトモデルが公開されたのは2017年のことでしたが、いよいよ2022年4月よりCE 04の市販バージョンが、日本でも入手できることになりました!
過去の発表会などで、BMWは今後アーバン・モビリティ・セグメント・・・つまりスクーターなどのコミューター的モデルなどの分野で、ICE(内燃機関)搭載車はリリースしないと明言しています。またBMWモトラッド責任者であるDr. マーカス・シュラムは、今後の数年間は18〜24ヶ月ごとに新しい2輪EVがBMWからリリースされることを予告しており、そして2025年からはアーバン・モビリティ・セグメント以外の分野にも、2輪EVを投入することを視野に入れていることをコメントしています。
最高出力31kW(42PS)、航続可能距離は約130km!!
積極的に"電化"を進めているBMWの最新2輪EVであるCE 04は、いわゆるマキシ・スクーターに属するモデルです。そのスタイリングの最大の特徴は車体の"長さ"ですが、空冷式の動力用バッテリーをフロアボードの下に効率良く配置することを意図した結果、この"長さ"が生み出されたわけです。
この動力用バッテリーはBMWの4輪EV、iXに搭載されているモジュールを流用したもので、液冷式のモーターもBMW製4輪EV技術を活用して製造しています。2輪EVメーカーのなかには、サプライヤーからバッテリーとモーターを供給してもらうメーカーも少なくないですが、BMWはEV技術の蓄積と、理想的な設計を製品に与えるという目的から、バッテリーとモーターをベルリン工場にて内製しているわけです。なお動力用バッテリーとは別に、メーターや燈火類などの電装品を作動させるための12VバッテリーをCE 04は搭載しています。
ICE車よりもより細やかな、電子制御によるライダーエイドを与えられる2輪EVの特性を活かすため、CE 04には「エコ」、「レイン」、「ロード」の3つのライディングモードが標準装備されていますが、アグレッシブな走りを楽しめるオプション設定の「ダイナミック・ライディング・モード」が、日本仕様では標準で採用されています。
CE 04の日本仕様は、標準のトラクション・コントロール・システムよりも、高い走行安全性(バンク時にさらに安全な加速を可能にする)を提供するDTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)が採用されています。そしてシートヒーターとグリップヒーターを標準装備として採用しているのも、日本仕様の特徴です。
CE 04の最高出力は42馬力、航続距離は航続可能距離は約130kmですが、航続可能距離を伸ばすため車体に目一杯バッテリーを搭載することはしなかったため、シート下に大きな空間的余裕がCE 04には与えられています。スタイリング面の、もうひとつのCE 04の特徴といえるのが低くて長い独特のシート形状ですが、そのシート下にはヘルメットが収納可能なラゲッジスペースが設けられています。
充電方法は、CHAdeMO(チャデモ)には非対応!!
CE 04の前世代モデルのC evolutionは日本では2017年5月より販売されましたが、充電方式がCHAdeMOに対応していないことを残念がる人は多かったです。気になる日本仕様のCE 04の充電方法ですが、車両に付属する充電器(Mode2)は単相200V/15Aで、バッテリーが完全に放電した状態から約4時間でフル充電が可能です(なおMode1および100V充電器は使用できません)。
また日本仕様のCE 04はMode3の高速充電に対応(最大単相200V/32A・6.4kW)に対応しており、公共のEV 200V普通充電器、BMW純正Wallbox、一般に販売されているEV 200用の設置型普通充電器(Mode3)を使用することができます。そしてCHAdeMOについては、CE 04も非対応となっています。
CHAdeMO、または家庭用100V充電が可能であれば、充電方法の選択肢が増えて有難いと感じる日本のユーザーは多いと思いますが、まだEVの普及期が始まったばかりの日本では、CE 04に限らずこの手の高電圧2輪EVは200V充電が可能な車両保管場所を確保できる人が対象の乗り物、というのが実情なのでしょう・・・。
アメリカ仕様は、スクリーンの色が透明のみなのですが・・・
CE 04のカラーバリエーションは、マジェラン・グレー・メタリックとライト・ホワイトの2つですが、マジェラン・グレー・メタリックの方は車体カラーの差し色であるオレンジと、同色のウインドスクリーンがデザインのアクセントになっています。
細かいところですが、アメリカ仕様は保安基準の問題からかウインドスクリーンが透明のみ採用となっています。日本の保安基準では可視透過率25%以上・・・となっていますが、日本仕様はオレンジが採用されるようです。もっともウインドスクリーンではなく、このパーツがメーターバイザー扱いであれば、可視透過率は問われないです。
ライト・ホワイトを選ぶ方にとっては、スクリーンは透明なのでどっちを選ぶのも好みでOKでしょうが、CE 04はマジェラン・グレー・メタリック一択!! という人にとっては、やっぱりスクリーンの色はオレンジであってほしいでしょうし・・・でも風防効果が高いラージタイプも捨てがたいし・・・と悩ましいのではないでしょうか?
そういう細かいことはさておき(苦笑)、最新のBMW製2輪EVであるCE 04の走りのパフォーマンスを早く体験してみたいですね! 今年の春の日本上陸を、楽しみに待ちたいです!
BMW CE 04 主要諸元(日本仕様)
■モーター タイプ 液冷オルタネーター搭載 永久磁石式同期電動機 定格出力 15 kW (20ps) 最高出力 31kW (42ps)/4,900rpm 最大トルク 62Nm/0〜4,900rpm
■性能・燃費 最高速度 120km/h 0〜50km/h加速 2.6秒 走行可能距離 130km(WMTC準拠) 電力消費量 7.7kWh/100km(WMTC準拠)電力回生方式 自動電力回生(下り坂走行時およびブレーキング時)
■電装関係 バッテリー 空冷リチウムイオン高電圧バッテリー バッテリー電圧(公称電圧)148 V 充電能力 2.3kW 通常充電時(6.9kW クイックチャージャーオプション装備車両) サブバッテリー 12V/5Ah(メンテナンスフリー) オルタネーター 500W
■変速機 1速ギヤボックス(モーターハウジング内に統合)駆動方式 ベルトドライブ
■車体 スチール製ダブルクレードルフレーム サスペンション/トラベル量 前 テレスコピックフォーク/110mm 後 ダイレクトリンクスプリングストラット(調整式スプリングプリロード付き/92mm ホイール 前後 アルミキャスト リムサイズ 前 3.50x15 後 4.50x15 ブレーキ 前 265mmダブルディスク 4ピストンキャリパー 後 264mmディスク 1ピストンフローティングキャリパー ABS BMWモトラッドABS
■寸法・重量 全長x全幅x全高 2,285x855x1150(ハイウインドシールド装着時 1315 )mm ホイールベース 1,675mm シート高 800mm トレール 120mm ステアリングヘッド角度 63.5° タイヤサイズ 前 120/70 R15 後 160/60 R15 重量 231kg
■メーカー希望小売価格 (税込) 161万円
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)/写真:BMW ※車両の写真は海外仕様