アンダー700ccのフルカウルスポーツバイクが2022年は盛り上がりそうだ。この記事ではライバル4機種の街乗り性能を比較する。
文:中村浩史/写真:南 孝幸、赤松 孝、折原弘之

【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660

ノンビリ走りもしたいしスポーツも楽しみたい

のんびりバイクは乗りたくない、けれどスーパースポーツはちょっと辛い……これが、今回の4台を選択肢にするライダーの本音だと思う。つまりそれは、のんびりも乗れるし、キンキン回しても楽しい「二面性」を持っているのはどれか、ってことでもある。

ワインディング、ツーリングよりも使用頻度が高い「街乗り」では、やっぱりCBR650Rが馴染みやすかった。4気筒ならではの重さは感じるけれど、低回転から高回転までスムーズで力がある。選択肢が4気筒しかなかった頃には、1000ccよりもあえて600ccクラスを選ぶクロウトっぽさもあった。

YZF-R7は、MT-07譲りの幅広い用途に使えるエンジン特性が光る。フットワークも軽く、街乗りはラクラクだけど、ライポジはスーパースポーツのYZF-R6なみだから、この乗車姿勢を苦にしない人向け。あえて電子制御を装備しない、素のスペックで勝負する姿勢は、同じCP2エンジンを積むビッグオフのテネレ700にも似ている。

ニンジャ650は4車中一番リラックスできるライポジで、出力特性も最も低回転寄り。180度クランクのためか、街乗りのスピード域ではドコドコと2気筒エンジンらしい鼓動感も感じられる。重心が少し高めに感じるのも、ハンドリングの軽快さを出している。

RS660はアプリリアのブランドイメージからすると意外なまでにユーティリティがいい。ハンドルは高く、ポジションは快適でシートも肉厚。低回転からトルクがよく出ていて、高回転まで回した時のパワーの伸びもナンバーワン。もちろん、街乗りでのスピード域でも扱いにくさを感じなかった。

リラックスして乗れるニンジャ、ポジションの好みが分かれるR7、2気筒に比べると重さを感じるCBRに、意外に万能なRSといったところだ。

各車の特徴

[諸元並び順]
●エンジン形式 ●排気量 ●最高出力 ●最大トルク ●車両重量 ●シート高 ●燃料タンク容量 ●タイヤサイズ前・後

画像: YAMAHA YZF-R7 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●688㏄●73PS/8750rpm ●6.8kg-m/6500rpm ●188kg ●835mm ●13L ●120/70ZR17・180/55ZR17 税込価格:99万9900円

YAMAHA YZF-R7

●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●688㏄●73PS/8750rpm ●6.8kg-m/6500rpm ●188kg ●835mm ●13L ●120/70ZR17・180/55ZR17

税込価格:99万9900円

戦闘的なポジションは好み次第

またがってまず気が付くのは、スーパースポーツのYZF-R1やR6なみの前傾ポジション。でも、これは手ごわそうだ、と思って走り出すと、中身はMT-07の誰にでも扱いやすい270度パラツインなので、このギャップに戸惑うライダーもいると思う。ただ、エンジンパワーに対して車体のしっかり感が勝っているから、サーキットやワインディングで魅力が光る!


画像: Honda CBR650R ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●648cc ●95PS/12000rpm ●6.5kg-m/8500rpm ●206kg ●810mm ●15L ●120/70ZR17・180/55ZR17 税込価格:105万6000円~108万9000円

Honda CBR650R

●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●648cc ●95PS/12000rpm ●6.5kg-m/8500rpm ●206kg ●810mm ●15L ●120/70ZR17・180/55ZR17

税込価格:105万6000円~108万9000円

4気筒のスムーズさは魅力

なじみ深い4気筒エンジン車。どんな用途でも、どんな乗り方でも許容する懐の深さがある一方で、4気筒ならではの「重さ」も感じる。同じ4気筒でも1000㏄に比べれば軽量な650㏄だが、同クラスではCBR650Rはニンジャ650より12kg、RS660より23kgも重い。ただしエンジンのスムーズさ、シルキーさは2気筒では味わえないもの。穏やかに走るようなシーンでは、やはりCBRの魅力が光る。


画像: Kawasaki Ninja650 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●649cc●68PS/8000rpm ●6.4kg-m/6700rpm ●194kg ●790mm ●15L ●120/70ZR17・160/60ZR17 税込価格:91万3000円

Kawasaki Ninja650

●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●649cc●68PS/8000rpm ●6.4kg-m/6700rpm ●194kg ●790mm ●15L ●120/70ZR17・160/60ZR17

税込価格:91万3000円

リラックスして楽しみたい人向け

4車中で一番ハンドル位置が高くてシート高が低いから、小柄なライダーやリラックスできるポジションを求めるライダーには最適。エンジンは4車中唯一の180度クランク採用で、低回転ではツインエンジンらしいドコドコ感が味わえるし、それでいて高回転の伸びもシャープという特性。ハンドリングはまるでひとクラス下のニンジャ400のような軽快さで、速度域を上げるとしっとり安定性も味わえる。


画像: aprilia RS660 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●659cc ●100HP/10500rpm ●6.83kg-m/8500rpm ●183kg ●820mm ●15L ●120/70ZR17・180/55ZR17 税込価格:145万2000円

aprilia RS660

●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 ●659cc ●100HP/10500rpm ●6.83kg-m/8500rpm ●183kg ●820mm ●15L ●120/70ZR17・180/55ZR17

税込価格:145万2000円

プライスも納得、の出来のよさ!

出力100PS/重量183kgと、動力性能はアタマひとつ飛びぬけているけれど、決して低回転域のトルクが細い「高回転だけ型」ではない扱いやすさがあるRS660。電子制御満載の最新エンジンに、アルミキャストフレーム&スイングアームという超一流のパッケージで、新時代のツインスポーツを楽しませてくれる。ニンジャ650より50万円、YZF-R7より45万円高いプライスも納得できる出来のよさ。のんびりもエキサイティングも楽しめる1台。


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    ホンダ CBR650R
  • 画像3: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    ヤマハ YZF-R7
  • 画像4: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    アプリリア RS660
  • 画像5: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    カワサキ Ninja650
  • 画像6: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    ホンダ CBR650R
    40
    302
  • 画像7: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    ヤマハ YZF-R7
    24
    181
  • 画像8: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    アプリリア RS660
    18
    138
  • 画像9: 【街乗り性能比較】ヤマハYZF-R7・ホンダCBR650R・カワサキNinja650・アプリリアRS660
    カワサキ Ninja650
    19
    142

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文:中村浩史/写真:南 孝幸、赤松 孝、折原弘之

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