Z1-Rに続いて登場したZ1000MK.II(マーク2)は、精悍な「角」スタイルでそれまでのZに対するイメージを一新しただけでなく、エンジン、車体も大幅強化。強力なライバルに対抗すべく、大きな進化を果たした、エポックメイキングな1台だ。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:鶴見 健

カワサキ「Z1000 MK.II」解説

画像: Kawasaki Z1000 MK.II 総排気量:1016cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 車両重量:245kg

Kawasaki Z1000 MK.II

総排気量:1016cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
車両重量:245kg

エンジン、車体を刷新しパフォーマンスを向上

Z1が登場してからしばらくの間、Zシリーズは排気量の拡大こそあったものの、基本設計はZ1のものを引き継ぎ、大きな変更は受けてこなかったが、1979年にエンジン、車体ともに大きな手直しを受けることになる。それがZ1000MK.Ⅱだ。

エンジンはボア・ストロークこそZ1000と同様だったが、ピストンやクランクなどのムービングパーツを一新。トランジスタ点火やキャブレターの変更なども相まって、パワーは実に93HPに向上。これに合わせて車体も強化、フレーム剛性もアップされている。

外装面も大きく進化した。前年に登場した派生モデルのカフェレーサー、Z1-Rの流れを汲んだ角形フォルムを採用し、それまでのZとは違う魅力をアピールした。強力なライバルの台頭でモデル寿命こそ短かったが、今なお熱烈なファンを持つ名機だ。

画像: カフェレーサー的なZ1-Rに対し、スタンダードなZ1000Aの後継として誕生。角張った燃料タンク、テールカウルは新デザイン。

カフェレーサー的なZ1-Rに対し、スタンダードなZ1000Aの後継として誕生。角張った燃料タンク、テールカウルは新デザイン。


カワサキ「Z750FX」

画像: カワサキ「Z750FX」

国内では750FXが登場!

Z2直系であるZ750Dの後を受け、1979年に国内向け750ccモデルとして登場。エンジンや車体はZ750Dベースだが、Z1000MK.Ⅱとほぼ共通の外装によってイメージを一新。ただ、性能的には強力なライバルたちに一歩譲り、Z650から発展したZ750FXⅡに取って代わられた。

カワサキ「Z1000 MK.II」ライディングポジション・足つき性

シート高:815mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg

画像1: カワサキ「Z1000 MK.II」ライディングポジション・足つき性

Z1のハンドルを低く、幅を詰めたようなポジションは現在のネイキッドスポーツと同じ。左右ステップ幅が広めで足つき性は良くない。

画像2: カワサキ「Z1000 MK.II」ライディングポジション・足つき性

カワサキ「Z1000 MK.II」各部装備・ディテール解説

画像: エンジンの基本構造は変わっていないが、各部パーツをリファイン。角張ったカムカバーを持つシリンダーヘッドなど外観も変わった。

エンジンの基本構造は変わっていないが、各部パーツをリファイン。角張ったカムカバーを持つシリンダーヘッドなど外観も変わった。

画像1: ブレーキは前後ディスクでローターの冷却孔は不等ピッチ。マフラーは左右の2気筒ずつ集合させた左右2本出しを採用。

ブレーキは前後ディスクでローターの冷却孔は不等ピッチ。マフラーは左右の2気筒ずつ集合させた左右2本出しを採用。

画像: フロント19インチ、リア18インチのホイールは、モーリス風のスポーティなデザインのキャストホイールになった。

フロント19インチ、リア18インチのホイールは、モーリス風のスポーティなデザインのキャストホイールになった。

画像: 大径の丸形ヘッドライトと砲弾型メーターという組み合わせは、現代のスタンダードとして今もネイキッドモデルに引き継がれる。

大径の丸形ヘッドライトと砲弾型メーターという組み合わせは、現代のスタンダードとして今もネイキッドモデルに引き継がれる。

画像: 丸形ケースを2つ並べたアナログ2連メーターは、Z1からのイメージを色濃く残したレイアウト。中央には警告灯類が並ぶ。

丸形ケースを2つ並べたアナログ2連メーターは、Z1からのイメージを色濃く残したレイアウト。中央には警告灯類が並ぶ。

画像: タンクの前後長がZ1-Rより短くなったのに合わせ、シートの全長は長目に。タンデム側がやや跳ね上がり座面が高くなっている。

タンクの前後長がZ1-Rより短くなったのに合わせ、シートの全長は長目に。タンデム側がやや跳ね上がり座面が高くなっている。

画像2: ブレーキは前後ディスクでローターの冷却孔は不等ピッチ。マフラーは左右の2気筒ずつ集合させた左右2本出しを採用。

ブレーキは前後ディスクでローターの冷却孔は不等ピッチ。マフラーは左右の2気筒ずつ集合させた左右2本出しを採用。

カワサキ「Z1000 MK.II」主なスペック

全長×全幅×全高2180×900×1180mm
ホイールベース1490mm
最低地上高155mm
シート高815mm
車両重量245kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量1016cc
ボア×ストローク70×66mm
圧縮比8.7
最高出力93HP/8000rpm
最大トルク9.1kgf・m/7000rpm
燃料タンク容量17.8L
変速機形式5速リターン
キャスター角26.0゜
トレール量87mm
タイヤサイズ(前・後)3.25V-19・4.00V-18
ブレーキ形式(前・後)Φ296mmダブルディスク・Φ290mmディスク

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:鶴見 健

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