文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年4月22日に公開されたものを転載しています。
その名は・・・レディ、ステディ、ゴー!?
2022年4月20日、CAKEはティーザー画像とともに予告した新製品の正体を明かしました。それは3種類の乗り物であり、幼児向けの12インチバランスバイクの「レディ」、16インチシングルスピードMTBの「ステディ」、そして電動キッズモトクロッサーの「ゴー」でした!
Ready Steady Go(レディ・ステディ・ゴー)とは日本語でいうところの、位置について、ヨーイ、ドン!の意味ですが、これら3機種は子供たちに2輪車の楽しみを知ってもらうために、自信を持ってステップアップしてもらうための商品なのです。
なおCAKEはこれら製品で子供たちに2輪で学んでもらうことを、「CAKE キッズ エボリューション プログラムと名付けています。
ステファン・イッターボーン(CAKE創業者兼CEO)
「モーター(付き乗り物)で何かすることを考える前に、自転車の乗り方を学ぶことは必要なことです。喜びと興奮、スキルの上達、そしてバランスとコントロールは、子供たちが2輪車に乗る道がどこであろうと、共通のプラットフォームです。また責任と不安の中で、子供と親が一歩一歩自信を持ち、安全について考えることが重要です」
子供のころから、CAKEのファンになってもらうことのメリットは大きいです!?
CAKEゴーの興味深い点は、その車体に「Powered by TRROT」と記されていることです。スペインのトロットは、現在KTM傘下にあるガスガスが2015年財政的危機にあったとき、救いの手を差し伸べたメーカーです。
トロットは第2次世界大戦後、仏テローのライセンス生産から2輪製造業を始めたメーカーで、1990年代には一度2輪事業から撤退したものの、2011年から電動車メーカーとしてブランドが復活。主にトライアルやモトクロス用の電動車を販売し、世界的に販路を広げています。
CAKEがゴーの製作に関してトロットと手を組んだのは、この分野で実績あるトロットのノウハウを活かすことで開発のコストと時間を圧縮して、いち早く市場投入したかったのかもしれません。これは、あくまで推測ですけど・・・。
電動バイクメーカーのCAKEが、なんで子供向け製品を? と思う方もいるかもしれませんが、ICE(内燃機関)バイクメーカーも昔からこの分野を熱心に開拓していたことが示すとおり、幼いころから自社製品に触れてもらうことで、ブランドに対するロイヤリティ(忠誠心)を持ってもらうことは結構大事なことなのです。
電動の分野で近年の例としてはインディアンが、E-バイクメーカーと組んでキッズ向け電動バイクを販売していますし、KTMグループやホンダもキッズ向けモトクロッサーを市場に投入し、幼いユーザー層の獲得に力を入れています。
CAKEの場合、電動キッズ向けモトクロッサーだけでなく、バランスバイクや子供向けMTBまで用意することで、さらなる「青田刈り」を狙っているのかもしれません? CAKEの電動バイクはその性能と、オシャレなスタイリングが主な人気の理由ですが、これら新基軸がどれだけ市場に受け入れられることになるか・・・注目したいです。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)