文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
スズキ「ジクサー250」インプレ(太田安治)
思い切り回したくなる爽快な油冷フィーリング!
軽二輪スポーツクラスでのスズキ車は水冷2気筒のGSX250Rと空冷単気筒のジクサー150が人気を二分していたが、2020年に油冷単気筒+フルカウルのジクサーSF250が加わった。今回試乗した、このジクサー250はそのネイキッドバージョンだ。
初めてジクサー150に試乗したとき、パワーに対してサスペンションを含めた車体剛性が高いと感じたが、この250ccエンジン搭載を織り込んで開発されていたのなら納得がいく。250用のメインフレームはパイプ肉厚増と専用スイングアームの採用でねじれ剛性を高め、150の2倍近いパワーを持つエンジン、1サイズ太い前後ラジアルタイヤ、15kg増の車重にジャストマッチ。これがジクサー本来のパッケージングだと思う。
グラマラスなルックスだが、タンクのニーグリップ部分の絞り込み、単気筒エンジンらしい左右ステップ間の狭さで、跨がると意外なほどスリム。バーハンドルはグリップ位置が高く手前に位置し、セパハンのSF以上にリラックスしたポジションを生んでいる。
新設計の油冷エンジンはショートストローク設定で、フリクションを感じさせずに高回転域まで軽やかに回る。一方で低回転トルクもしっかり確保され、2人乗りでもアイドリング回転のままスムーズに発進できる。
全体にフラットなパワー特性だが、スロットル操作に忠実に反応するのは4000回転から1万回転で、26馬力という数値以上の力強さを見せる。高回転域での重ったるさも回転上昇の鈍りもないので、気をつけていないと1万1000回転を超えてリミッターを作動させてしまうほど。
6速・100km/h時は約6800回転で、心地よい振動と軽やかな排気音を楽しみながらクルージングできるし、最高速は優に150km/hを超えるので、高速道路の120km/h区間でもパワー不足は感じない。ロングストローク設定のジクサー150のようなゆったり感、トコトコ感はないが、2気筒のGSX250Rよりも爽快な特性で、遠慮なく高回転まで回したくなる。
対してハンドリングは安定性重視。コーナリング初期からグイグイ曲がるのではなく、バンク角に応じて素直に旋回するので疲れないし、ビギナーでも扱いやすい。ライダーに従順で、公道速度域では余裕たっぷり。ついつい遠回りや寄り道がしたくなる。ジクサー250はそんなオートバイだ。
スズキ「ジクサー250」カラーバリエーション
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