全身でニンジャカスタムの可能性を追い込んだ1台

しゃぼん玉によるGPZ900Rカスタム。ニンジャのカスタムバイクらしい雰囲気を全面に出しつつ、パッケージとしてのまとまりも十分。押し歩きした際にもとても軽く、コンパクトに感じるのも特徴だ。

「この車両は、熊木(現・しゃぼん玉一宮店店長)がずっと面倒を見ているものです。外装はカーボンとしてアルミタンクを装着、カスタムらしさと自分らしさを高めるためにフルペイントしてあって、足まわりも現代流に構築しています。メーターまわりも凝った作りです。なかなかほかでは見ないパーツの組み合わせがしてあったり、おっしゃるように、すごく軽い上にまとまりがいいのも特徴です」としゃぼん玉のマネージャー・滝川さん。熊木さんにも聞いてみた。

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「私はじつは3代目の担当なんですよ。それ以前、元々はフロントサスのバランスが悪いと来店されてその手直しの相談から始めたんです。そこから、リヤも合わせてリバランスして以来、長くお付き合いしていただいて、カスタムを進めてきたというものです。オーナーさんは何台も車両を持っておられる中で、この車両によく乗ってます。それだけ気に入ってもらえてるということで、こちらもやりがいがあります。全体としては芯を持ちながら軽くまとめていくようにしていて、ライディングポジションもスポーティにはしているんですけど、走る場所を選ばないように快適性もちゃんと出しています」

形やパーツ使いという点では、ニンジャというバイクに手を入れようとした時に頭に浮かんでくるスタイルを具体化したと言えそうだ。その上で、オーナーの要望に合わせて柔軟に作り込んでいるのがしゃぼん玉流。スポーティポジションなのにストリートがメイン、しかも快適性を損なわないというのは、まさにそこからの恩恵だろう。遡ればここに至るきっかけがしっかりしたリバランスやセットアップへの対応だったのだから、パーツ選びもしゃぼん玉の提案を信頼して、長く付き合ってきたわけだ。

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「今からなら、ニンジャはまずレストアしてベースコンディションを良くしておく。そこから自分の好きな形を作ることになりますが、その際にはパーツの選び方には注意してほしいです。安いからとか間に合わせだと、結果的に買い直しになることが多い。ですからビジュアルも含めて、そのパーツを付けた時やその先の完成像をきちんと説明してくれる、あるいはイメージさせてくれるショップを選ぶのが、ニンジャのカスタムでのポイントになります。当店でなくてもいいですから、きちんと選んでほしいです。

ニンジャはきちんと作ればよく走ります。パワーだってありますし、先ほど言ったように前後17インチホイール化して、スイングアームを換えてリヤサスをよく動くようにすれば、鈴鹿サーキットだって十分に楽しめます」

ニンジャの話は尽きることがないほどできる。それが多くのパーツとともに長年扱ってきた証だ。それを背景に、まだまだ楽しいニンジャが作れる。この車両は、そんな好例と言っていい。

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アッパーカウルはしゃぼん玉製で下側のフィンも変更、ミラーもカーボンに。メータープレートはアルミ2枚構造で新作(一宮店はアルミ、本店はカーボンの傾向がある)。左から時計/エンジン回転計/水温計/油温計をすべてスタック製でセットする。ステアリングステムはスカルプチャーだ。

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燃料タンクもアルミに変更し、メンテナンス性(サビを出さないので燃料系にも好影響)や軽量化等にも貢献する。キャップ後ろのステッカーは車両オーナーの仲間の娘さんが運営するバイク系YouTubeちゃんねる“なみちゃんねる”(しゃぼん玉も登場する)のもの。外装類はいずれもベースのカーボン地を少し見せながら純正の黒×赤パターンイメージによってYFデザインでフルペイントしている。

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ラジエーターも大型化し、その下にオイルクーラーをセットして冷却系を強化する。カーボン製アンダーカウルも追加されている。

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吸気系はTMR-MJNφ36mmキャブレター+ファンネル。シリンダー横にはTGナカガワ製オイルバイパスキットも見え、対策もきちんと行う。

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エンジンはTGナカガワでチューン。φ75mmピストンによる972cc仕様でヨシムラカムもセット。サブフレームとダウンチューブはアクティブでスライダーを追加、これにウイリー製ステップキットをつなげるのが独特。各社パーツのミックスでこうしたスタイルが作れるのも、大型パーツショップならでは。

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フロントまわりはGSX-R流用のステアリングステムとサンクチュアリー・メカニックブランドのオーリンズ倒立E×Mモードパッケージで構築。フロントブレーキはブレンボ・ラジアルビレットキャリパー+サンスターディスク/グッドリッジライン/ゲイルスピードマスターの組み合わせだ。

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リヤブレーキはブレンボCNC・2ピストンキャリパー&しゃぼん玉オリジナルディスク。排気系はフルチタンの4-1を装着している。

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リヤサスはウイリー・ハイトコントロールスイングアームにオーリンズショック、ホイールはMAGTAN JB1で3.50-17/5.50-17サイズを履く。長い間に構築されながらもどこにも古びて見えるような部分もなく、パッケージとしてのまとまりもいい点にはとくに注目したい。

取材協力:しゃぼん玉

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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