スズキ「GSX400F」の歴史・特徴
スズキ初の4気筒400ccマシン、GSX400Fのエンジンは高性能の象徴とされていた4バルブDOHCヘッドの4気筒で、燃焼効率を高めるTSCCも採用。一体鍛造の6軸受けクランクシャフトなど、耐久レースで培われた技術も随所に採用されていた。
カワサキのZ400FXがそうであったように、当時の4気筒400ccは免許制度の関係で容易には大型バイクに乗れなくなってしまった、中型免許ライダーの大型車志向を満たす意味合いが強く、このGSX400Fも大柄な車格に仕上げられていたが、ANDFやトリプルディスクブレーキなどの豪華装備を持ちながら、FXやXJより若干軽い、乾燥重量175kgに抑えられていた。
1981年12月。ホンダからCBX400Fが発売されて4メーカーの4気筒モデルが出揃い、400マルチ戦線はさらに激化。好調な売れ行きを示すCBXに対抗して、カワサキはFXからZ400GPにフルモデルチェンジを行ない、ヤマハも4本マフラーのXJ400DにYSP仕様を追加してテコ入れを図る。スズキはGSX400Fに大幅なモディファイを加えたGSX400FSインパルスを投入する。
カムプロフィールの変更やキャブレターの大径化、圧縮比アップといったモディファイが加えられ、ヨシムラとの共同開発によるサイクロンマフラーを装備したインパルスのエンジンは、CBXやGPと肩を並べる48PSまでパワーアップ。
車体関係もジュラルミン鍛造セパレートハンドルやアルミスイングアーム、前席を大きくえぐったシングル風シートなどが採用され、出力特性、ハンドリングともにGSX400Fの兄弟車とは思えないほどスパルタンな味付けになった。
その後のバイクブームにより、ロードレースブーム、レーサーレプリカブームが急激に盛り上がってゆく中で、いち早くエンジンの水冷化やアルミフレーム化を進めるなど、GSXシリーズはさらに大きな存在感を放っていくことになる。
GSX400F(1981年4月)
スズキ初となる400cc・4気筒モデル。さらにクラス初となる4バルブ4気筒エンジンは中回転域での力強さと高回転で伸びる特性が身上で、クセのない操縦性と合わせて万人受けする優等生的な仕上がり。
GSX400F-Ⅱ(1982年3月)
滑らかなボディラインを持つGSX-Fに2トーンカラーを施し、片側だけだったANDFを両側に装備。ホーンもダブルになった。
GSX400FS Impulse(1982年6月)
GSX400F-Ⅱをベースに、ヨシムラと共同開発した4in1マフラーを装着。セパレートハンドルやアルミスイングアームも採用している。
GSX400X Impulse(1986年3月)
1100カタナを手掛けたハンス・ムートによるデザイン。1986年式GSX-Rと共通のものをスチール製フレームに搭載する。
GSX400FW(1983年3月)
フルフローターサスや16インチホイールを採用するFW。ハンドルマウントのミニカウル仕様もあり、ハンドル形状も異なっている。
GSX400FW(1984年6月)
スチールフレーム、4in2マフラー、シングルピストンブレーキと実用性重視だが、エンジンを旧FW用から59馬力仕様に。
まとめ:RIDE編集部