Vストローム1000シリーズの後継として2020年にデピューしたVストローム1050シリーズ。その上級版である「Vストローム1050XT」は、ワイヤースポークホイールを装備。大型スクリーンやガード類もはじめから備わる。2022年の現行型について解説していこう。
文:山口銀次郎、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(山口銀次郎)

画像: SUZUKI V-STROM 1050 XT 総排気量:1036cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 シート高:850mm 車両重量:247kg 税込価格:151万8000円

SUZUKI V-STROM 1050 XT

総排気量:1036cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
シート高:850mm
車両重量:247kg

税込価格:151万8000円

「考え導き出すパフォーマンス」にどっぷり身を委ねられる安心感

往年のラリーモデル DR750/800Sを彷彿させる 外装デザインにリニューアルを果たしたVストローム1050XT。250cc&650ccクラスモデルもラインアップするVストロームシリーズにおいて、1050は堂々とした佇まいと、惜しみなく最新技術を投入したフラッグシップに相応しい仕上がりとなっている。

長年に渡り熟成を重ねた信頼性の高いVツインエンジンは、スポーツモデルへの搭載から始まりVストロームシリーズへ採用され、数多くの電子デバイスとのコンビネーションにより飛躍的なパフォーマンス向上が図られた。

パフォーマンス向上も単に出力値やトルク値が上がったというものではなく、現代の環境性能に対応することはもちろんのこと、必要な時に必要な、そして無駄の無い的確なパワー伝達を可能とした「考え導き出すパフォーマンス」が個性として進化したといえる。

画像1: スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(山口銀次郎)

かつて、一部の最先端レースでのみ採用されていた電子デバイスの介入が、今は、当然の機能として装備しているというありがたさ。実際に試乗してみると、全体のイメー ジは「優しい」という、どことなくソフトかつマイルドにチューンされたイメージに捉えられるかもしれないが、それは全くの誤解である。

むしろ、足まわりの衝撃吸収能力や、タイヤのグリップ状況、そして安定した車体姿勢の維持等々、全てがアップデートされた電子デバイスはトータル的にハイパワーを活かす様に働いている。なので、ライダーはリラックスした状態で視野を広く持つことができ、自ずとセーフティレベルも上がる。

画像2: スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(山口銀次郎)

ビッグオフロードモデル然とした車体全体のルックスだが、足まわりや車体構成からするとロードモデルとしても割り切ったバランスになっていると感じる。実際に高速道路や一般道、そしてワインディングなどを走行すると、舗装路に適した設定とキャラクターであることがわかる。

画像1: スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(2022年)走行性能・各部装備を徹底解説
画像2: スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(2022年)走行性能・各部装備を徹底解説

その性格を大きく左右するのは前後のホイール径にある。フロント19インチとリア17インチの組み合わせは、ロードスポーツモデルとは異なるテイストを生むが、フロント21インチ装備のオフロードモデルと比べると、舗装路との相性も良く、むしろクセのない フィーリングはツアラーモデル寄りでもあるともいえる。

また、ロードスポーツモデル同様の軽量かつ高剛性のアルミ製ダイヤモンドフレームと強靭な足まわりをセットすることで、舗装路ならではの強大なグリップ力が生む多方向の外乱やエネルギーを吸収し収束させる能力に長けている。

画像3: スズキ「Vストローム1050XT」インプレ(山口銀次郎)

フロント19インチの専用設計のブリヂストン製タイヤは、高いグリップ力を発揮するので浅いバンク角でもダイレクトな旋回性をみせ、大柄に見える車体が嘘の様に軽やかなステップを踏むことが出来る。

ただし、17インチのロードスポーツモデルとは異なる身を翻し寝かし込むような、ダイナミックなアクションを若干だが必要とするところがオフロードモデルの面影を残すキャラクターとしては嬉しいと言えるのではないだろうか。

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