文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年9月27日に公開されたものを転載しています。
FELOの名に、ピンときた人はロードレース通?
MotoGPだけでなく、国内外のロードレースを熱心にウォッチしている方であれば「FELO」の名前をご存知なのではないでしょうか? 中国・上海のHYTモトのブランドであるFELOテクノロジーは、スポーツEVというジャンルにフォーカスしたユニークな存在です。
2019年にブランドを立ち上げたFELOは、電動車によるロードレース選手権である「MotoE」の、伊グレシーニのチームの、2022年度のメインスポンサーをしました。同年シーズン2勝して年間ランキング3位となったマッテオ・フェラーリが駆ったエネルジカ エゴ コルサのフェアリングに、FELOのロゴが大きく描かれていたのをご記憶の方もいらっしゃるのでは?
またFELOは2021年に、リアルロードレーシング(公道を利用したロードレース)の最高峰であるマン島TTの、ゼロエミッション車で競われるクラスである「TT-ZERO」に、2023年に参戦する計画を発表しています。
参戦車両の「FRTT」は900V・180kWのシステムで、300km/hの最高速をターゲットにしているとのこと。既報のとおり、2023年度のマン島TTでTT-ZEROは復活しない模様ですが、2024年度に復活を遂げたときは決勝スタート地点に、FRTTの姿があることを期待したいです。
COVID19パンデミックを乗り越え、見事製品化に漕ぎ着けました!
FELOは2019年のEICMAに、市販車第一弾としてデザインした電動スポーツスクーター「FW-06」を発表し、話題を集めました。
このFW-06の姿を見て、既視感を覚えた方はかなり2輪EVに普段から注目してきた方なのではないでしょうか? 実はFW-06は、台湾のスクーター界のトップメーカーであるキムコの「F9」の兄弟車なのです。
FELO FW-06はライトなどマスクのデザインはキムコF9と異なりますが、車体まわり、ブレシレスDCモーター、自動2速ギアボックスなどの設計は共用。台湾はF9、中国はFW-06と市場の住み分けが図られていますが、FW-06はGL(7.68kWh)とDX(8.5kWh)の2タイプが用意され、それぞれ異なるバッテリーオプションを持つ・・・という設定でした。
FELOはキムコから投資を受けており、またキムコが台湾で展開しているバッテリーステーション網の「アイオネックス」のアライアンス(同盟)に、FELOはスーパーSOCOとともに加わっています。つまり、両社は非常に強い結びつきを保つ間柄であり、さまざまな分野で互恵関係にあるのです。
非常に魅力的な電動スポーツスクーターであるFW-06は、世界の2輪を輸入販売するモータリスト合同会社が総代理店となって日本での供給を担うことになりました! 2019年のEICMA登場時からFELOとコンタクトをとり、協力関係を築いてきたモータリストですが、今年11月のEICMAでの最終量産モデル正式発表に合わせ、同月から日本へのFE-06正式導入を予定しているそうです。
すでに予約受付はスタートしていますが、その期間中の予定価格は99万円(税込)と設定。昨今の円安傾向が続く為替相場の動向ですが、予約期間終了後は価格見直しの可能性もあるとのことなので、確実に99万円でFW-06を入手したい方は、シリアスに予約することを検討するほうが良いでしょう。
FELO FW-06 主要諸元
寸法:1,832x711x1,087mm 筐体寸法:1,700x570x1,040mm 定格出力:5,000W 最高出力:12,000W 車両重量(バッテリー込み):121kg シート高:784mm ホイールベース:1,236mm バッテリー容量:96V 58Ah リチウムイオン式 最高速度:110km/h 充電時間:5〜6時間 走行可能距離:
140km(NEDC=New European Driving Cycle) タイヤサイズ フロント:110/80-14 リア:140/70-14 登坂力:≥ 15° ブレーキ:前後ディスク ABS バッテリー保証:8年または80,000km
車両保証:1年間(走行距離無制限) 予約期間中予定価格:99万円(税込)
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)