文:中村浩史/写真:折原弘之
ヤマハ「XSR900」ライディングポジション・足つき性
シート高:810mm
ライダーの身長・体重:178cm・80kg
ライダーが座る部分が肉抜きされ、足つき性はシート高の810mmという数字以上に良好。半面、シート底板のカドの硬さを感じることが多かった。シートは硬め、スポーツライディング方向のセッティングで、シート形状から前後への体重移動はしにくかった。
ヤマハ「XSR900」各部装備・ディテール解説
スタイリング
MT-09のバリエーションモデルとして、2016年4月に登場したノンカウルスポーツXSR900。エンジン、車体をMT-09と共用し、スタイリングはレトロ、パフォーマンスは最新というパッケージで、ヤマハはこれを「ヘリテイジ」と呼んでいた。そのXSRは排気ガス規制対応やマイナーチェンジを経て、2022年6月にフルモデルチェンジ。エンジン、フレームとも一新された新世代ヘリテイジを形にしたモデルだ。
フレーム
軽量さと剛性を両立したCFアルミダイキャストフレーム。CFとはControlled Filling(調整式充填)の意味で、フレームの各部位に合わせて、強度剛性が必要な個所は肉厚を厚く、そうでない箇所は薄く成型することで軽量に仕上げられる技術。仕上げがきれいで従来比で約30%軽量化、約80%の部品点数削減、約30%のコスト削減ができるという。
エンジンスペック
MT-09、TRACER9 GTと共通の888cc並列3気筒エンジン。アシスト&スリッパークラッチを採用し、シフトアップ&ダウン両方向のクイックシフト、パワーモードは4種類から選べ、トラクションコントロール、クルーズコントロールを採用。最高出力は116㎰から120㎰にアップ。最大トルクは8.9kg-mから9.5kg-mに増え、発生回転数も1500rpm下がった。
エンジン外観
先代の845ccからストロークアップで888ccまで排気量アップ。数少ない不満は、デルタボックス形状のフレームはXSRに不似合いだと思うことと、マフラー溶接仕上げ。
フロントフォーク
両フォークトップにスプリングプリロード、右に伸び側11段、左に圧側11段の減衰力調整機構があるフロントフォーク。金のアウターチューブは先代に設定されていた60thアニバーサリー以来の採用。
リアサスペンション
リンクを介して車体にレイダウンしてセットされているプリロードを7段階、伸び側減衰力を無段階に調整可能。減衰力は、フレームのスイングアームピボット上のラバーキャップを取り外して調整する。
フロントブレーキ・ホイール
ブレーキはΦ298mmローター+4ピストンキャリパー。直進時とコーナリング時の動作を個別に設定できるABSを採用。ホイールは先代よりも前後あわせて700g軽量化。
スイングアーム・リアブレーキ
スイングアームは先代よりも55mm長いロングアームで、トラクション性能を上げている。ホイールベースも先代より65mm長いが、ハンドリングにデメリットは感じない。
ヘッドライト
オーソドックスな形状のLED丸ヘッドライトだが、独特なライト形状やLEDウィンカー形状と位置など、新しさを感じさせる顔つき。無骨さと機能が融合したデザイン。
メーター
コンパクトながら視認性の高いデジタルメーター。ギアポジション表示つき、バーグラフ式タコメーターで、オド&トリップ、瞬間&平均燃費、リザーブからの走行距離などを表示可能。
ハンドルスイッチ・クルーズコントロール
メニュー表示は右ハンドルスイッチのダイヤルで、各種電子制御は左ハンドルスイッチ上のモードボタンと+/-スイッチで設定する。クルーズコントロールは4速50km/h以上から設定可能。45km/hまで下げられ、2km刻みで上下設定できる。
燃料タンク・実測燃費
タンク前半分はエアボックスで、フューエルタンク容量は14L。今回の実測燃費は一般道〜ツーリングペースで、約20〜25km/L。タンク上面は伏せやすいフラット形状。
シート
カフェレーサーのシートカウル付きシングルシートを思わせる形状の段差のあるシート。テールランプはシートエンド後端にセットされ、存在感をミニマムに抑えている。
シート下
オプション設定のETCを装着するカプラーがあらかじめセットされ、メーターにも表示する。
タンデムステップ
タンデムステップはステーごとシート下に折り畳み収納できるスタイリッシュなもの。
ヤマハ「XSR900」公式動画
ヤマハ「XSR900」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2155×790×1155mm |
ホイールベース | 1495mm |
最低地上高 | 140mm |
シート高 | 810mm |
車両重量 | 193kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 888cc |
ボア×ストローク | 78.0×62.0mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 88kW(120PS)/10000rpm |
最大トルク | 93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm |
燃料タンク容量 | 14L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜ |
トレール量 | 108mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C (58W)・180/55ZR17M/C (73W) |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 121万円(消費税10%込) |
文:中村浩史/写真:折原弘之