トラブルからの復活に多彩な対策と理論を盛り込む

「オーナーさんは元々このZに乗ってて、いろいろ手を入れてらしたそうです。それがクランクケースが割れてシリンダーに穴が空くという、私も見たことないようなトラブルに遭われて、仕様変更と合わせて入庫しました。マフラーやキャブレター、ホイールや外装など使えたものは使いましたが、エンジンは当然、フレームも使えませんでしたので別のものを用意して、私なりの考えで作り直しました」(サンクチュアリー・コウガ/立入さん)

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実質1台を丸ごと作るのと同じになったが、ここにコウガ流、立入流とでも言える考えが投入される。エンジンはJBパワーφ73mm鍛造ピストンでの1105cc仕様とし、内部パーツにはWPC加工やシリンダーの潤滑性を高めるパルホスM処理など表面処理を行う。さらにサンクチュアリー・コウガによるオリジナルのEVOシステム(Z用6速クロスミッションと、180サイズ以上のタイヤを組んでもフラットフロントスプロケットが使えるロングアウトプットシャフト&デュアルベアリング支持のKIT)を組み込むなど、フルメニューで再生する。

足まわりも再構築されるが、継続使用としたホイールが前仕様のゼファー1100適合品のため、アクスルシャフトがφ17mmと、今の17インチホイール仕様で考えれば細めの設定だった。

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「それをXJR1200適合フロントフォークを使って、大径のφ22mmアクスルにしました。ホイール側はスリーブやベアリングを打ち替えて、カラーを新たに作ったりメーターギヤ加工もしたりと、手間やコストはかかりましたけど。それでも大径の方がいいですね。

今回は特殊な例になりましたけど、もしZでの17インチ化などを考えているなら、まずプロショップに相談してもらうのがいいんです。先にパーツを揃えようという気持ちも分からなくはないですが、ホイールだけ買ったりすると、組み合わせによってはフロントフォークの剛性は高くなっているのに、細くて低剛性のアクスルシャフトで組まないといけないというようなネガ要素が出ることもあります。

手直しはできますが、手間もかかりますしコストもかかります。しかも遠回りになりがちです。だから先に打ち合わせをして、仕様を絞り込んでからパーツを揃える方が結果的にいろいろとメリットが出ます」と立入さん。ここはぜひ参考にしたい。

そして一方リヤ側は「アクスルシャフトと、リヤショックの下側マウントの距離を取って、レバー比を稼いでショックをしっかり動かすようにしています。派手さはないですけど、ちゃんと動く寸法を重視して作っています」という立入さんの持論も投入している。

こうして見事に復活したこのZ、快走を楽しんでいるということだ。

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ステアリングステムはスカルプチャー・ブランドで、XJR1200適合ナイトロン製フォークをセット。メーターは純正ケースにスタックST200回転計を組む、同店定番メニューを施してある。クラッチは油圧駆動化して左右マスターシリンダーはブレンボRCS。外装は前仕様のものをそのまま使っている。

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フレームは新たに用意して補強等の作業を行っている。ステップはナイトロレーシング。フラットなフロントスプロケットも見える。

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クランクケースが割れ、シリンダーに穴が空いたエンジンは新たな個体を用意した上で再構築。JBパワーφ73mm鍛造ピストンで1105cc化し前仕様からヨシムラST-2カムを移植。内部パーツはWPC加工やシリンダーへのパルホスM加工を施した。ミッションおよびスプロケットカバーはサンクチュアリー・コウガのEVOシステムで6速化するなど、フルメニューが施される。キャブレターはヨシムラTMRをセットした。

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フロントフォークはナイトロンNTR43のXJR1200適合品(アクスル径φ22mm)。前後ホイールは前仕様からのMAGTAN JB1(3.50-17/5.50-17サイズ)で、前仕様のフォークに合わせたゼファー1100適合品(アクスル径φ17mm)。今回は前仕様からホイールを流用するという事情も理解した上での解決法として、細径アクスルシャフトでのネガ解消のため、ホイールベアリング/スリーブを打ち替えるなどの作業を経てアクスルを大径化し、適正な剛性を得るようにした。一から作る場合は大径アクスルに合うホイール/フォークを揃えれば加工などの手間を減らせるのだ。

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リヤブレーキはブレンボCNC P2キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせでフロントとバランスさせている。

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リヤはショックレイダウンの角度を強めるのでなく、アクスルシャフトとショックのロアマウントの距離を取ることでレバー比を確保して理想の作動性を狙うというコウガ流で構築される。ショックはオーリンズ、スイングアームはXJR1200用を流用する。

取材協力:サンクチュアリー・コウガ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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