13年かけてフレーム以外のすべてを望ましい方向へ
「前職の時にお付き合いが始まって、その後私自身がお店を構えてから今まで10年くらい、都合13年かけて今の形になった車両なんです。当初はハンドルとマフラー以外ノーマルだったのが、現在はフレーム以外はほぼ手が入った状態です。派手目にすることと、市販パーツで手を入れたいということで進めていて、乗り味に関わるところは私の好みで決めさせてもらい、オーナーさんにも納得いただいているものです」
このゼファー1100の背景と今までの経緯を教えてくれるのはショップ・メローズの中川さん。最初に依頼されたのはキャブレターと点火ユニットの換装だった。そこでポン付けしておしまいでなく、セットアップまでしっかり行ったことから信頼を得て、お任せも含めて作業の内容も深めていった。
車両は冒頭の説明通りにゲイルスピードホイールやOVERスイングアームなど、派手目要素を作るポリッシュ系パーツは多くの部分に使われている。外装はドレミコレクションのZ2 Styleが使われていて、確かにボルトオン構成は徹底しているようだ。
「ただボルトオンとは言っても、すべてが同じように付くわけではなく、簡単なのものもあればちょっと工夫の要るものもあります。また、パーツそれぞれだと大丈夫でも、組み合わせによっては干渉するようなものも出てきます。さらに別々のメーカー製で、見た目が合うのか、まとまるのかということもあります。そうした問題を解決するためのワンオフや、セッティングが必要な部分への作業も行っています」と中川さん。それはエンジンに表れていた。
「距離も伸びたのでオーバーホールして、SOHCエンジニアリング製鍛造ピストンを組みました。普通は実測90ps程度のところ、最初のキャブ交換時に100psを記録する好調な個体でしたし、このピストン交換とファインチューンで今後ももっと楽しめると思います」
事情により今では、前オーナーの身近な人がこの車両も、手を入れるコンセプトも引き継いで2代目オーナーとなったとのこと。手の入れ方も内容も分かっているから、安心と楽しみは続くはずだ。
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Detailed Description 詳細説明
追加装着されたビキニカウルはNプロジェクト・ブラスターIIで茶タイガーカラーの外装はドレミコレクション“Z2 Style”をまとう。
しゃぼん玉ショートオフセットステムでフロントの17インチホイール化に対応、ハンドルバーはアクティブ・ファナティックをハリケーン・セットバックで位置調整する。走行距離6万km超を刻むメーターはパネル変更を施し、ヨシムラ・デジタルマルチメーターも追加されている。
フェンダーレスキットもステンレスで製作しユーティリティを高める。ナンバープレートホルダーはオオニシヒートマジック製チタンだ。
シートは外観に合うようなタックロールタイプに変更し、シートキャッチをワンオフ。シートカウルサポートレールもワンオフしている。
エンジンはノーマル状態で実測100psを発揮する個体で状態も良く推移。今回のオーバーホールでSOHCエンジニアリング製鍛造ピストンを使い、ポーティングやバルブタイミング調整等のファインチューニングを加え、元の良さを生かしつつ先も楽しめる仕様とした。
キャブレターはFCRφ37mmのデュアルスタックファンネル仕様。キャブ後部にBagus! 製小物入れも備えている。点火はウオタニSP2を装着。
フロントブレーキはブレンボP4 34/34 65mmキャリパーにサンスターディスクを組み合わせる。フロントフォークはオーリンズ正立だ。
リヤブレーキはブレンボキャリパーをKEINZサポート+メローズワンオフトルクロッドでリジッドマウント。ディスクはサンスター・プレミアムレーシングディスクをチョイスした。
前後ホイールはゲイルスピードTYPE-Cで3.50-17/5.50-17サイズを履く。アルミスイングアームはオーヴァーレーシングで下側スタビライザー付きだ。