文:太田安治、小松信夫、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
スズキ「アヴェニス125」インプレ(太田安治)
通勤快速の血統を感じるスポーティなキャラクター
約20年ぶりに復活した「アヴェニス」が、生産国であるインドに続いて日本国内での販売を開始した。フレームの基本骨格やパワーユニットは新型アドレス125と共通のものだが、外装パーツを直線基調のデザインでまとめ、アドレス125とはまったく異なるシャープなルックスに仕上げられている。
最新の環境規制をクリアしたSEPエンジンは、メンテナンス性が良く、軽量な空冷方式を採用。メーカー発表によるとECMのセッティングなどを変えてアドレスよりも加速性能を高めたとのことだが、乗り比べると全開加速時の速さに大きな違いは感じられず、30〜50km/hの定速走行からスロットルを開いたときのレスポンスが少し鋭いかな? というくらい。
どう扱っても安心だし、穏やかに速度を乗せるので、トラコンが欲しくなるシーンもない。40〜60km/hで流しているときの回転数も抑えられていて、常用速度でのスムーズさと静粛性は文句なしだ。
アドレス125との違いを感じるのがポジション。アドレスのシート形状はほぼフラットで着座位置の自由度が高いが、アヴェニスのシートには大きめの段差が付いている。上体を前傾させて肘を開き気味にハンドルを握るモタード的な姿勢を取れば車体との一体感が高まるが、僕の身長(176cm)だと着座位置が決められて、リラックスしたポジションを取ろうとすると上半身が後傾気味になる。ここは体格と好みで評価が分かれるところだ。
車体はアドレスよりもリア周りの剛性感があり、リアサスも硬めの印象。それだけに軽い前傾ポジションを取るとフロントタイヤ荷重の増加分とバランスが取れ、スクーターとは思えないダイレクトさで小気味よく向きを変えてくれる。
前後連動ブレーキの効力バランスも良く、街乗りなら左側ブレーキレバーの操作だけで事足りるし、右レバーへの入力を高めればギュッ! と安定して減速するから、ABSの必要性は感じない。デジタルメーターや左右2個のフロントポケット、傾斜地でも安心して駐車できるブレーキロックレバーなど、実用装備はスタンダードスクーターの域を超えている。
全体にスポーツライクで、「新型アドレスよりもアドレスらしい」イメージ。これで新型アドレスとの価格差が1万1000円なのも悩ましいところだが、走りの差は気にせず、ルックスの好みと実際に使う装備に絞って選べば後悔しないはずだ。
スズキ「アヴェニス125」カラーバリエーション
「アヴェニス125」のボディカラーは、「パールミラージュホワイト/マットフィブロイングレーメタリック」「マットフィブロイングレーメタリック/ラッシュグリーンメタリック」「グラススパークルブラック/マットブラックメタリックNo.2」という全3色の設定。
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