ベース車両のコンディションも整えて楽しむ
ZRX1100が登場4年を超えた2001年にその後継版として登場したZRX1200R。角型デザインのボディやヘッドライトカウル、スチールダブルクレードルフレーム(脱着式の右ダウンチューブはアルミ)やGPZ900Rをルーツとしたロッカーアーム式DOHC4バルブの水冷直4エンジンといった基本はそのままに、多くのアップデートが施されていたモデルだ。
エンジンはボア、ストロークともに拡大して1052から1164ccへ排気量を増すとともにめっきシリンダー化した。車体の方もフレームは補強するとともにスイングアームピボットを5mm下げ、30→28mmと減らしたフロントフォークオフセット、15mm延長して断面形状を変えたスイングアームとともに安定性を高めた。リヤホイールも0.5インチ幅を広げた5.50-17サイズとなるなど、細かく手が入れられていた。その後2004年に再度5mmピボットを上げたり排出ガス規制に適合するなどの変更を受け、2009年には日本専用車となるZRX1200DAEGにバトンをつないでいく。
そこでこの車両だ。キャブレター車のZRX1200Rがベースで、カラーリングは一見純正にも見えるが、フルペイントが施されている。実際に2013年型や2015年型のZRX1200DAEGが採用したメタリックスパークブラックの純正色やパターンが近く(ともに燃料タンクの赤ラインの位置が異なる)、きっちり仕立てた純正仕様というイメージを車両全体にもたらしている。
オーナーのTAKUYA8さんは若い世代。まわりには父親をはじめZRX1200DAEGオーナーがたくさんいて、一緒に走ったり、カスタムの話をしたりしている。その中でZRX1200Rをあえて選んだのだという。
「私の車両は2002年型です。ZRXは形や見た目が好みなんです。ただ私はキャブレターの雰囲気が好きなので、DAEGでなくて1200Rを選んだんです」とTAKUYA8さん。なるほど、そういう選び方があるなと感心させられる。しかももう20年という年月が経った車両らしい付き合い方もいい。
「その通りに20年ものと古いバイクになってて、あちこちガタが来ていますから、今はカスタムよりも消耗品の交換を優先して手を入れている感じです。ぱっと見てサビの目立つボルトなどは今後交換したいです」
衰えた部分を補修しつつ、軽量化や剛性アップといった部分にも手を加えている点も好ましい。「たまに勝手に付いてたりしますけど(笑)」というパーツもあるとのことで、それは父親が自身のDAEGがパーツ変更した際に外したもの。DAEGと1200Rで互換性があって、現状よりアップグレードできると思うもの(フロントフォークなど)が付いてきたという。同系機種の共通性を生かし、TAKUYA8さんにも金田さんにも利のある手段となった。
車両としてはその金田さんDAEG同様に、外観と走りを楽しくするというコンセプト。古くなったからきちんと維持をする方に振る。そこが踏まえられているから、このようにシブさも見せる好ましい仕上がりを得ているのだ。
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Detailed Description 詳細説明
スクリーンはMRAスモークでメーターはノーマルにヨシムラ・デジタルマルチメーターを追加。ハンドルバーはゴールドカラーに変更し、マスターシリンダーは右がブレンボラジアル、左がブレンボRCS。燃料タンクキャップはTWM製レーシングフューエルキャップを装着する。
2015年型DAEGの純正メタリックスパークブラックに近いパターンと配色は知り合いに依頼したというが、純正そのままに見えるのが秀逸だ。
エンジンはノーマルでラジエーターをラウンドタイプに変更、ケイファクトリー製フロントスプロケットカバーを装着。ステップはOVER製をチョイス。
キャブレターはFCRφ41mmをファンネル仕様でセットする。排気系はノジマチタンEXにレオビンチ・チタンサイレンサーを組み合わせている。
フロントフォークはオーリンズ正立のブラック、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルP4 30/34キャリパー+サンスターディスク。
リヤブレーキはブレンボP2 32キャリパー+純正ディスク。リヤショックはオーリンズでスイングアームは純正のリブ入りD字断面アルミ材製トラスの上下をつなぐようにK/styleで補強を加えている。ホイールはゲイルスピードType-Rで3.50-17/5.50-17サイズを履く。