文:オートバイ編集部、太田安治
スズキ「GSX-R」特徴・回顧録(太田安治)
スズキのスーパースポーツ、GSX-Rの名を最初に冠したのが1984年登場の400。正式には排気量を入れない「GSX-R」が車名だ。59PSというパワーは当時最大で、これが馬力自主規制値の基準になったとも言われている。
僕はプロダクションレースにヤマハFZを走らせていたが、筑波やSUGOの耐久レースには仲間のGSX−Rで参加。FZよりもエンジンにトルクがあってSUGOの登りストレートではRZ−RやRG−Γ、NS−Rといった2スト250cc車を自由自在にパスできたし、軽いハンドリングで耐久レースでも疲れなかったが、タイヤの接地感が薄くてコーナリングには慣れが必要だった。
レプリカブームを加速させた一台であることは間違いないが、この手のレプリカモデルでは苦痛でしかない街乗りやツーリングも当たり前にこなす実用性も備えていた。
スズキ「GSX-R」注目ポイント
スズキ「GSX-R」関連の歴代モデル 1984年~1990年
GSX-R(1984)
クラス初のアルミフレームや集合マフラーを採用し、乾燥重量わずか152kgという軽量化を実現。限定でHBカラーも発売された。
GSX-R(1986)
ヘッド部を水冷、シリンダーを空冷、ピストンは油冷としたユニークな新エンジンを搭載。フロントタイヤは17インチ化された。
GSX-R400(1987)
丸目2灯のレーシーなスタイルに変更。吸排気系を見直して高回転化、タイヤはラジアル。クロスミッション採用のSPも登場した。
GSX-R400(1988)
新設計の水冷エンジンを搭載。剛性を大きく高めたDC-ALBOXフレームを採用、マフラーは左右2本出しに変更された。
GSX-R400R(1989)
スイングアームがサブフレーム付きに変更され、タイヤも前後17インチ化。よりレーシーに進化し、車名もGSX-R400Rとなった。
GSX-R400R(1990)
TT F-1レーサー譲りのアルミダブルクレードルフレームや倒立フォークを採用。1993年には53PSに変更され、1995年まで販売された。
スズキ「GSX-R」主なスペック
※諸元は1984年モデル
全長×全幅×全高 | 2090×710×1185mm |
ホイールベース | 1425mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 176kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 398cc |
ボア×ストローク | 53.0×45.2mm |
圧縮比 | 11.3 |
最高出力 | 59PS/11000rpm |
最大トルク | 4.0kgm/9000rpm |
燃料供給方式 | キャブレター |
燃料タンク容量 | 18L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27゜25' |
トレール量 | 96mm |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-16・110/90-18 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |