文:オートバイ編集部、太田安治
スズキ「GSX-R」特徴・回顧録(太田安治)

SUZUKI GSX-R
1984年
総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:780mm
車両重量:176kg
スズキのスーパースポーツ、GSX-Rの名を最初に冠したのが1984年登場の400。正式には排気量を入れない「GSX-R」が車名だ。59PSというパワーは当時最大で、これが馬力自主規制値の基準になったとも言われている。
僕はプロダクションレースにヤマハFZを走らせていたが、筑波やSUGOの耐久レースには仲間のGSX−Rで参加。FZよりもエンジンにトルクがあってSUGOの登りストレートではRZ−RやRG−Γ、NS−Rといった2スト250cc車を自由自在にパスできたし、軽いハンドリングで耐久レースでも疲れなかったが、タイヤの接地感が薄くてコーナリングには慣れが必要だった。
レプリカブームを加速させた一台であることは間違いないが、この手のレプリカモデルでは苦痛でしかない街乗りやツーリングも当たり前にこなす実用性も備えていた。
スズキ「GSX-R」注目ポイント

GSX400FW用ユニットをベースにピストンやコンロッドを軽量化。吸排気バルブも大径化するなど、徹底したチューンで59PSを実現。

前後で10個のピストンを持つことから「デカピストン(デカ=10の意)」と呼ばれたブレーキシステム。フォークにはANDFを装備。

モノショックを持つフルフローターサスペンションを採用。ホイールもスポークを極限まで細くして軽さにこだわった逸品。

スポンジにマウントされるレーシーなメーターは3眼タイプ。初期型は文字盤がブラックで、2型以降ではホワイトとなる。
スズキ「GSX-R」関連の歴代モデル 1984年~1990年
GSX-R(1984)
クラス初のアルミフレームや集合マフラーを採用し、乾燥重量わずか152kgという軽量化を実現。限定でHBカラーも発売された。

当時価格:62万9000円
GSX-R(1986)
ヘッド部を水冷、シリンダーを空冷、ピストンは油冷としたユニークな新エンジンを搭載。フロントタイヤは17インチ化された。

当時価格:66万9000円
GSX-R400(1987)
丸目2灯のレーシーなスタイルに変更。吸排気系を見直して高回転化、タイヤはラジアル。クロスミッション採用のSPも登場した。

当時価格:69万9000円
GSX-R400(1988)
新設計の水冷エンジンを搭載。剛性を大きく高めたDC-ALBOXフレームを採用、マフラーは左右2本出しに変更された。

当時価格:69万9000円
GSX-R400R(1989)
スイングアームがサブフレーム付きに変更され、タイヤも前後17インチ化。よりレーシーに進化し、車名もGSX-R400Rとなった。

当時価格:72万9000円(消費税別)
GSX-R400R(1990)
TT F-1レーサー譲りのアルミダブルクレードルフレームや倒立フォークを採用。1993年には53PSに変更され、1995年まで販売された。

当時価格:73万9000円(消費税別)
スズキ「GSX-R」主なスペック
※諸元は1984年モデル
全長×全幅×全高 | 2090×710×1185mm |
ホイールベース | 1425mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 176kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 398cc |
ボア×ストローク | 53.0×45.2mm |
圧縮比 | 11.3 |
最高出力 | 59PS/11000rpm |
最大トルク | 4.0kgm/9000rpm |
燃料供給方式 | キャブレター |
燃料タンク容量 | 18L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27゜25' |
トレール量 | 96mm |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-16・110/90-18 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |