文:横田和彦、ノア セレン/写真:関野 温
MT-25 VS ジクサー250|街乗り・ツーリング性能 比較
どんなスポーティなバイクでも、街中は日常的に走る重要なセクション。このクラスだとむしろ街中走行はメインステージかもしれない。スポーツはいったん置いておいて、ストリート&ツーリング性能をチェック!
ノア セレン CHECK
パンチのジクサー250、洗練されたMT-25。日常領域ではシングルが有利かも?
ライバルとはいえ、YZF-R25の血筋をつけ継ぐMT-25と、新設計油冷ユニットを搭載したジクサー250とではバックグラウンドがずいぶん違う。スポーツモデルをベースに長年積み重ねてきた熟成のMT、そして全く新しい提案として生まれたジクサーといったところか。もちろん、かたやパラツインで、かたやシングルという根本的な違いもある。さてストリート&ツーリングではどうなの?
直接乗り比べるとこの2台は、ずいぶんと違う乗り物。MTはこんなに先鋭的なルックスをしているのに、乗り味はとっても伝統的なのだ。シートが低くハンドルが高くて、ライダーの重心がドシッと車体の重心に載っているイメージ。自分で乗ってもそうだし、横田さんが乗ってるのを見てもそうなのだ。ヤマハで例えるならばXJR400とか、そういった1990年代ネイキッドのような乗車感覚でとても安定している。
対するジクサーはかなりモダンな乗り味で、高い着座位置からハンドルに覆いかぶさるようなポジション。ファイタースタイルで、GSX-S1000っぽく感じる積極性があり、ポジション的にはツーリングと言うよりはスポーツモデルに近いだろう。
ところがエンジンの性格は逆のイメージだ。常用域で元気でフレキシブルなジクサーのシングルに対して、さらにその先の領域を秘めているぞ!と訴えかけてくるMTのツイン。ストリート&ツーリングだったらMTの車体にジクサーのエンジンが最強コンビ? なんて欲張りな妄想が!?
横田和彦 CHECK
エンジン特性の違いが個性になっている。シングルとツイン、走りには大きな差が!
同じ250ネイキッドスポーツとはいうものの、この2台の走りには明確な差がある。
ジクサー250のエンジンは単気筒で油冷。部品点数が少なく軽量・コンパクトに仕上がっている。アクセル操作に対して弾けるように反応し、軽快なスタートダッシュをみせる。ハンドリングは軽く、ライダーの荷重入力に対してすぐに応えてくれる。そのため市街地をキビキビと駆け抜けることができるのは快感だ。しかし高回転域での頭打ちはやや早め。またサスペンションを中心とした足まわりの設定が少しハード気味なので、ペースを上げていくと舗装が荒れたところや大きなギャップなどで車体がハネてしまうシーンも。ロングツーリングでは疲労度に影響するかも知れないと感じた。
並列2気筒エンジン搭載のMT-25はトルクフィールがなめらか。低回転域でドンッと出るような押し出し感はないが、回転の上昇とともに力強く加速していく。そして中回転域でギクシャクしにくいのでクルマの流れに乗って走るときもストレスを感じない。また中~高回転域にかけてのパンチ力に優れているので高速道路の巡航がラクにこなせる。前後サスペンションの動きはしなやか。そしてハンドリングは過敏すぎないしっとりとしたもの。タイヤの接地感もハッキリと伝わってくるので、どんなシチュエーションであってもリラックス気分で走れる。
街中を元気に駆け抜けるジクサー250に対し落ち着いたハンドリングのMT-25。フィーリングの差は大きいぞ!