文:横田和彦、ノア セレン/写真:関野 温
MT-25 VS ジクサー250|スポーツ走行性能 比較
スポーツライディングに最適なフィールドといえばワインディングだ。そこで低速~中速コーナーが続く峠道を舞台に、250NKスポーツの乗り味をチェックしてみた。それぞれの持ち味の違いを体感することができた!
横田和彦 CHECK
コーナーではペースが上がる場所が違う
250スポーツネイキッドの実力を発揮できるワインディングでは、エンジン特性と足まわりセッティングのバランスが走りを左右する。
ジクサー250は軽さと低回転から弾けるように湧き出るトルクフィールが武器。コーナーへのアプローチ時にスピードコントロールしやすく、ググッと減速すると軽い入力でバンクを開始。ねらったラインにパッと乗せて向きを変えていく。コーナーの出口にあわせてアクセルを開けていくと、リアタイヤが地面を蹴り出すような感覚で軽快に立ち上がっていく。この瞬間「スポーツライディングしてるぜ!」という気分に浸れる。ただステップが低いのですぐに接地してしまうのが残念。また足まわりのセットがやや固く減衰が弱めだからか、高速コーナーのギャップでタタッと車体が跳ねてわずかに外に流れることも。
MT-25はコーナーの出口でアクセルを開けたときに、前後タイヤのグリップがはっきりと伝わってくる。サスペンションを通してエンジンパワーをリアタイヤに伝えながらグゥーンと伸びていくような脱出加速が味わえるのだ。サスセッティングが絶妙なので、ジクサーほどバンクは早くないものの減速から旋回、立ち上がりまで安定感が高い。高速コーナーはもちろんS字の切り返しの挙動も品がある。さすが「ハンドリングのヤマハ」だ。
グイグイと積極的に操って曲がっていくのがジクサー250、車体のモーションを体感しながら駆け抜けるのがMT-25という感覚だ。
ノア セレン CHECK
セットアップを楽しむジクサー250。一日の長はMT-25にあり、か?
市街地やツーリングでは「ジクサー250有利か!?」と感じていたけれど、ワインディングに入るとイメージが変わった。
あらゆる回転域から力が発揮され、シングルらしいパンチを持っているジクサーのエンジンはここでも大変魅力的なのは変わらないのだが、バイクと一体となって走るというよりは、ファイタースタイルでバイクに覆いかぶさってコーナーに放り込んでいく、というような感覚だ。そうなるとフロントまわりからもう少しインフォメーションが欲しい。MTのバイアスタイヤに対してこちらはラジアルタイヤを装着するものの、どうやらこのラジアルはグリップというよりは耐摩耗性重視らしく、その辺りもこの感覚の原因かもしれない。
対するMTは熟成されている感覚があり、とても素直にターンインでき、深めのバンク角でも常にフロントが安定していて、さらにグイグイ曲げていきたくなる特性。ペースが上がるとエンジンの性格もシンクロしてきて、ライダーと共にスポーツマインドを高め合っていく感覚がとても面白かった。
しかしMTのそんな感覚は1990年代的でもあり、ちょっと旧いという印象も感じられた。ジクサーの方がモダンなスポーツ性とも感じられる。MTは「うん、これ最高。言うことなし」と満足するのに対し、ジクサーは「タイヤ替えてみよ!」「ハンドル替えてみよ!」と、ライダーの好みに合わせていく楽しさがあると思えた。