文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ロイヤルエンフィールド「ハンター350」インプレ(太田安治)
シングルスポーツらしい素直な走りに好感!
イギリスで創業し、オートバイ製造で122年の歴史を持つ超老舗ブランド・ロイヤルエンフィールド。本社の倒産、インド企業下での復活といった紆余曲折を経て、現在は350cc~650ccクラスの7機種が日本で販売されている。中でも人気となっているのが空冷単気筒350ccエンジン搭載のメテオ、クラシック、そしてこのハンターだ。
車体はハリスパフォーマンスの手によるスチール製ダブルクレードルフレームに、正立フォークと2本ショックのリアサスペンション、前後17インチタイヤを組み合わせたオーソドックスな構成。丸みを帯びたタンクとサイドカバー、ロングシートの外装デザインは意図的にレトロ感を強調したのではなく、シンプルな造形を追求した結果だろう。眺めているだけで、車体全体から発散する落ち着いた雰囲気に魅入られてしまう。
エンジン特性もルックスにピタリと合ったもの。大きなピストンがゆったり上下し、重めのクランクがユルユルと回る感覚がなんとも心地いい。単気筒らしい鼓動はあるが、不快な周波数の振動やメカニカルノイズが抑え込まれているのも高評価ポイントだ。
アイドリング回転近辺から太いトルクが出ているため、ゼロ発進のイージーさは特筆もの。タコメーターはないが、シフトアップタイミングは排気音の変化を頼ればいいし、低めの回転からスロットルを開けてもギクシャクせずに「スタタッ!」とリアタイヤの蹴り出し感を伝えながら加速する。快適な速度域は40~70km/hあたり。高速道路の100km/h巡航でもパワー不足は感じないから、長距離ツーリングも楽しめる。
意外だったのはハンドリングの素直さ。以前に試乗した「メテオ」は直進性が強めで、バンクさせるとフロントタイヤがゆっくりと内側を向いてくるクルーザーらしい特性だったが、ハンターはロードスポーツらしい自然な反応で、前後荷重やスロットルワークを一切気にしなくてもスイスイと穏やかにコーナーを抜けていく。タイヤの接地感も高く、ミドルクラスのネイキッドモデルを駆っている感覚。ビギナーでも安心できるし、強風や雨といった悪コンディションにも強い。
試乗してみてつくづく感じたのは新生ロイヤルエンフィールドの確固たるフィロソフィーと、それを実現する技術力。最初の一台にも、上がりの一台にも自信を持ってお薦めできる。
ロイヤルエンフィールド「ハンター350」カラーバリエーション
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