文:中村浩史/写真:松川 忍
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR SP 30th Anniversary」インプレ
いつでもどこでも誰とでもそれがホンダCB、ホンダBIG-1。
初代のCB1000SFから30余年、そこから1300ccとなり、現行モデルの出発点となった2003年モデル以降のSC54からでも、すでに20年が経過しているBIG-1。これまで何度、スーパーフォア&ボルドールに乗っても、変わらない印象がある。
それは、このBIG-1シリーズは、乗れば乗るほど、このビッグバイクをコントロールする喜びを与えてくれるオートバイであることだ。もちろん、CBR1000RR-Rであっても、乗れば乗るほど、コントロールする楽しさが分かってくるのだけれど、BIG-1シリーズの方がはるかにわかりやすい、ということ。ハードルが低いわけでも、高いハードルでない、誰にでも超えやすいオートバイなのだ。
実は、速い! ネイキッドモデルだからのんびり走って楽しいモデル、と誤解されることが多いが、1000cc時代、1300ccになっても、ずっと速い! 日常のスピード域では、低回転からトルクがあるエンジンのおかげで、そう回転を上げなくてもほぼすべてのスピードをカバー出来るが、いざスロットルを開け気味、回転を上げて走ると、5500回転くらいからグンとトルクにひと乗せがあり、とたんに猛烈なダッシュを始めるのだ。
ストリートで50~60km/hで走っている分には、とんとんとトップギア6速に放り込んで2000回転ほど、そういうジェントルな走りもできるし、峠に持ち込んで、リアタイヤにどんどん力をかけながら3速3000~4000回転を使って俊敏に走り回るスポーティさもある。この両局面を持つのがBIG-1なのだ。
さらに高速道路のクルージングでは、今度は穏やかな安定性も味わうことができる。トップギア80km/hで流すのは2500回転、100km/hは3000回転、120km/hは3600回転、2021年モデルから標準装備されているクルーズコントロールをセットすると、快適なポジション、乗り心地の良さで、どこまでも距離を伸ばすことができる気になってしまう。
特にオーリンズサスペンションを前後に装着したSPモデルは、ストリードで軽々としたフットワークを、ワインディングではよく動く、回頭性のいいハンドリングを、そして高速道路では、クッション性がよく、乗り心地のいいキャラクターを味わうことができる。高価な前後サスペンションは、なにもスポーツ性だけに特化する装備ではないということがよくわかるのだ。
排気量1000cc、車両重量250kg、出力100PSを超えるようなビッグバイクに乗る、そして乗りこなすことは、いわばライダーみんながやってみたい、憧れの行為なのだと思う。
さらに乗っている時でなくても、眺めるだけでワクワクし、自分の愛車なのだと感動する気持ちが、オートバイと付き合って暮らす、ということ。
それができる、感じやすい、そしてやってみたくなるのがホンダCB、そしてCB1000SFから続くBIG-1シリーズなのだと思う。
思えば1969年のCBナナハン、1979年の750Fもそういうオートバイだった。それがスポーツバイクのど真ん中、ホンダCBなのである。