文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔
モト・グッツィ「V100 マンデッロ S」インプレ(宮崎敬一郎)
新世代水冷ユニットと電子制御サスペンションが生む上質感
このV100マンデッロはモト・グッツィ初の水冷4バルブエンジンを搭載している。徹底して小型軽量化を目指したエンジンで、ようやくミッション一体型の一般的なクランクケースを採用。エンジンの前後長を抑えるとともに軽量化を果たして、スモールブロックのV850TT用空冷エンジンに対して、103mmも前後長が短くなっている。
パワーは115馬力。これまでの空冷850系より50馬力ほども強力で、これは直4のZ900RSと同等の力量だ。それを低めの8800回転で発揮し、トルクピークは6750回転。底なしに回るようなドゥカティのLツインなどとは異なり、ストレスのない低めの回転域で全力を発揮する味付けだ。
マンデッロのキャラクターはオールマイティなツーリングスポーツ。今回試乗した「S」はライディングモードで切り替わるオーリンズ製の電子制御サスの採用など、装備が充実したハイグレードタイプだ。
注目の水冷エンジンは、最も活発に応答する「スポーツ」モードでも、ビックアップはスロットル操作に対して比較的柔軟。いい意味でグッツィらしい、どっしりとした吹け上がり方をする。回転の落ち方も自然で、3000回転以下の低回転域からダイレクトにパワーをコントロールでき、想像以上にスムーズ。だが、これまでの空冷ユニットとは違った元気の良さがある。
パワーバンドは6000回転以上。トルク変動はマイルドで、パワーカーブはほぼストレートな印象。ライダーが身構えずに使いこなせる紳士的な性格に仕上がっている。
最新世代のオーリンズ製電子制御サスの動きは劇的に良くなった。スポーツモードのままでも荒れた路面を快適に走り、スポーティなライディングでは過度なピッチングを抑えて、しっかりタイヤを路面に押し付ける。身のこなしはグッツィらしくないほど自然で素直。旋回性も悪くない。それでいてこの足まわりが走行状況に応じてごく自然に変化するので、どのモードでも、ただただ上質な乗り心地、路面への接地感を常に感じられるのがすばらしい。
モト・グッツィ、特にネオクラシックモデルには、独特の高速安定性や、のどかだが勇ましいエンジンの感触を楽しむ、濃厚なテイストが前面に出ているが、このマンデッロは新しさの中にも、そんな伝統的なグッツィらしさがしっかりと滲み出ている。これも大きな魅力と言っていい。
モト・グッツィ「V100 マンデッロ S」カラーバリエーション
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