※本企画はHeritage&Legends 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。
ユーザーに夢を見せて実現してもらうために
ケイファクトリーといえば、メーカー問わずニューモデルがリリースされる都度、すぐにフルカスタムのデモバイクを製作、注目を集めるパーツメーカー。そのカスタムには自社製品、開発中パーツはもちろん、他社パーツも適材適所で抵抗なく使用して、カスタムファンがひと目で「このパーツを使うと、雰囲気はこうなる」が分かる仕様としている。事前予約制で2022年1月に販売がスタートしたばかりのZ900RS SEも、あっという間にご覧の通りだ。
「こうしたバイクをほしがる世代の中心は50〜60歳代、僕らの世代だと考えています。本当にほしいモノは、よほどのプレミアムバイクでもない限り、入手できる余裕のある方は多い。乗りやすくなるなら、さらに格好よくなるなら、カスタムにも抵抗を感じない。
一方で、僕らが若い時には新車が出たと同時に、各パーツメーカーがフルカスタムのデモバイクを競うように発表したものでしたが、今はマフラー・メーカーなら対応マフラーのみが付いたそれ、サス・ブランドなら自社製サスを装着したそれ、という具合にしか作らなくなった。けっして批判する気はありませんが、それではユーザーは“夢”を想像しにくい。せめてウチぐらいは、とカラ元気で張り切ってお見せするんです(笑)。
僕ら世代はこの先何年も大きなバイクに乗れないでしょうから、『来年したらええわ』はない。すぐに自分の考える最良の仕様を作りたいでしょうし」と、桑原代表。
一方のツインショック化された初期型、火の玉タンクのZ900RS。こちらも同車デビュー直後の’17年末に発表されて、カスタムファンの話題をさらったもの。他にない斬新さは、今も色褪せない。
「発売から時間も経って、『こんなん作りたい』ってお客さまからの引き合いも増えているんですよ」
このバイクを買ったら、あんなパーツを付けて……を応援するのが、パーツメーカーとしての矜持。ケイファクトリーの『想い』は、2台のカスタムに見てとれる。
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Z900RS SE/ケイファクトリー・イメージのゴールドはSEにもピタリと馴染む!
すでに販売中の同社フラッグシップ、CLR-RG+フルエキ:ヘキサゴンサイレンサーJMCA認証マフラーは、このSE用に作られたかのような抜群のフィッティング感が美しい1本だ。
フロントブレーキまわりはブレンボ.484キャリパーに、ケイファクトリー製インナーディスク+ピンで組まれたサンスター製ディスクの組み合わせ。
ステアリングステムまわりは試作品。ハンドルバーはケイファクトリーの可変式クイックハンドルキット。
スイングアームもケイファクトリー・オリジナルのビッグサイズ新型目の字断面を装着。
オーリンズショックの油圧式イニシャルアジャスターのマウントステーとタンデムステップブラケットはケイファクトリーで新造したものだ。
ステップやフロントスプロケガード、レバーガードなど、すべてケイファクトリーの販売中製品だ。