文:ノア セレン、横田和彦/写真:南 孝幸
評価ライダー
790DUKE VS GSX-8S|試乗前の印象
800ccのパラツインはスポーツネイキッドの主役になるのか
600cc前後のパラレルツインスポーツは数多くあるが、800㏄はGSX-8SとDUKE790くらいだ。もしかするとこの排気量のパラレルツインは一番バランスの取れたスポーツモデルなのかもしれない。ノアと横田はどう感じているのだろうか?
ノア セレン CHECK
「最適なパワー」から進化したミドルクラス
かつてミドルクラスと言えば普通自動二輪免許で乗れた400ccクラスを指していた。しかし、大型二輪免許が普及してからは、650ccクラスに移行したように思う。それがいつの間にか、700~800cc近辺のモデルが「ミドルクラス」なんて呼ばれるようになった。でもこれはちょっとニュアンスが違う「ミドル」じゃない?
かつて650クラスは、「ビギナー含めて誰もが気軽に乗れて、実用的かつ経済的で、スポーティに走らせることもできるけど、毎日乗れるような汎用性もある」といったイメージだった。しかし、今のミドルクラスは究極化し過ぎたリッタークラスに対して、もう少し現実的な速度域で楽しめる排気量とサイズ感でありながらプレミアムなモデル、という位置づけになってきたように感じている。さぁ、GSX-8Sと790DUKEはどうかな?
横田和彦 CHECK
似てるけど似てない? 生まれた国が違う2台
「やっぱり結構違うじゃん」。それが2台を目の前にしたときのボクの第一印象。写真で見たときは似ているように感じたけど、並べてみるとボディの面構成や見た目の前後バランスなどぜんぜん違う。まぁ冷静に考えるとカテゴリーが同じでエンジンレイアウトも一緒、排気量も近いとなれば、基本シルエットが似てしまっても不思議じゃない。…とはいえスズキは後発だから色々と言われちゃうのは仕方ないか。
そして今回注目したいのはエンジンだ。従来このクラスは4気筒が主流だったが、近年は並列2気筒(パラツー)が増えてきた。ベテラン勢の中にはパラツーに対して疑問視する人もいるけれど、先入観を持たずに乗ると驚くはず。なぜなら最近のパラツーは実に良くできているからだ。軽量・コンパクトでトルクの盛り上がり感が楽しく操る楽しみもある。だから乗る前から軽快な走りを想像してニヤニヤしてしまう。
790DUKE VS GSX-8S|エンジン・スペック・カラーバリエーション比較
エンジン比較
メジャーなパラツインエンジンだからこそ光る個性が必要だ!
そのコンパクトさや車体設計の自由度の高さ、作る上での効率の良さなどから多くのメーカーが手掛けているパラツインエンジン。790DUKEは大排気量Vツインが75°Vであるということから、パラツインも75°位相クランクを採用してKTMらしさを追求している。新たに登場したスズキのパラツインは一般的な270°クランクながらバランサーシャフトの配置に独自性がある。荒々しくパワフルな790DUKE、そしてトルクフルで上品なGSX-8Sだ。
790DUKE
GSX-8S
主要スペック比較
790DUKE | GSX-8S | |
---|---|---|
税込価格 | 119万円 | 106万7000円 |
全長×全幅×全高 | NA | 2115×775×1105mm |
軸間距離 | 1475±15mm | 1465mm |
最低地上高 | 186mm | 145mm |
シート高 | 825mm | 810mm |
車両重量 | 174kg(乾燥) | 202kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
排気量 | 799cc | 775cc |
最高出力 | 77kW(105hp)/9000rpm | 59kW(80PS)/8500rpm |
最大トルク | 87N・m(8.8kgf・m)/8000rpm | 76N・m(7.7kgf・m)/6800rpm |
燃料タンク容量 | 14L | 14L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
タイヤサイズ前・後 | 120/70ZR17・180/55ZR17 | 120/70ZR17・180/55ZR17 |
ブレーキ前・後 | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
カラーバリエーション
790DUKE
GSX-8S