スズキ「GSX1100Sカタナ」特徴
圧倒的な個性でライダーを今なお惹きつける名車
1980年、ドイツ・ケルンで開催されたIFMAショーで世界中に衝撃を与えたモデルこそがスズキGSX1100Sカタナ。工業デザイナーのハンス・ムート率いるドイツのターゲットデザイン社が、その名の通り日本刀をイメージしてデザインした、未来的、先鋭的なスタイルが大きな話題となった。
スズキは1979年に、空冷DOHC4バルブユニットでトップレベルのパフォーマンスを実現したGSX1100Eを投入していたが、スタイリングがオーソドックス過ぎて市場の反応は今ひとつ。よりインパクトのあるデザインが求められていたのだ。ショー会場では、誰もがこのバイクを単なるコンセプトモデルと思っていたが、翌1981年に世界は再び仰天させられる。なんとスズキはほぼそのままの形で市販したのだ。
独創的なフォルムで、低く構えたライディングポジションも独特なもの。111PSというパワーは申し分のないものだったが、ハンドリングは直進性重視で、決してスポーツライディング向きのオートバイではなかった。しかし、この圧倒的な個性と、乗りこなす手強さが世界中のライダーを強く惹きつけ、長年にわたって愛されることになるのである。
スズキ「GSX1100Sカタナ」誕生ヒストリー
世界をアッと言わせた「ケルンの衝撃」
MVアグスタをベースにした「レッドラプター」に衝撃を受けたスズキはターゲットデザインに3モデルのデザインを依頼。「ヨーロッパデザイン」の略称で、それぞれED1、ED2、ED3と呼ばれた。ED1は最初のカタナであるGS650Gとなり、ED2が1980年のIFMAショーに展示されて大反響を呼んだGSX1100Sのプロトタイプ、そしてED3は後年GSX1100EZとして市販化されることとなった。