「3気筒といえばトライアンフとヤマハ!」と言っても過言ではないだろう。その中でもすこぶる評判が良いのは、トライアンフのストリートトリプル。そしてその対抗馬としてあげられるのがヤマハXSR900。ルックスや方向性はかなり異なる2台だが、実は「120」というキーワードでつながっていた!?
文:ノア セレン、横田和彦/写真:関野 温

XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

街中から高速道路まで、3気筒の鼓動に耳を澄ます

画像1: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

バーハンドルのアップライトなライディングポジションは、街中やツーリングで使い勝手の良さを感じさせると思いきや、実はいろいろ注意すべき点も確認できた。やっぱりオートバイは乗ってみないとわからない部分が隠れている。


タンデム/2人乗り

XSR900の折りたたみ式タンデムステップを展開すると予想外に大きくてビックリ。でもシートはクッション性があって思ったより座り心地が良い!

画像2: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

荷物の積載性

ワンデーツーリングだって、ちょっとした荷物は積みたいもの

ツーリングに行くときはちょっとした荷物が積めると助かる。2台はいずれもタンデムシート面積は小さいのため、今回はネット固定ではなく、汎用性の高いタナックスの「シェルシートバッグ2GT」を装着してみた。ストリートトリプル765Rは比較的容易に固定できたが、XSR900の方はタンデムシート部に厚みがあり、シート裏にもうまくひっかけられる部分が少なく、固定にはかなりの工夫が必要。バッグ類は固定方法を吟味する必要がありそう。

XSR900

画像3: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

ストリートトリプル 765R

画像4: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

ハンドル切れ角&取り回し

押し歩きや低速走行で気づいたのは、XSR900は意外と小回りが利かないという事実。そもそもハンドル切れ角が少なめということもあったが、それだけでなくホイールベースの長さも影響しているので、Uターンは余裕を持っておこないたい。一方で押し歩きの時はXSR900の方が重心は低いイメージがあり、腰をシートに当てておけば安心して取り回せる。小回りの利くストリートトリプル765Rは、ハンドルを右に切ってもハンドルロックができるのは大きなメリット。

XSR900

画像5: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

ストリートトリプル 765R

画像6: XSR900 VS ストリートトリプル765R|ツーリング適性比較

横田和彦 CHECK

両車ともスポーティだけど方向性がちょっと違うね!

画像3: ストリートトリプル765R

ストリートトリプル765R

普段使いや旅に最適なネイキッドはどっち?

ネイキッドの良さは街乗りやツーリングでも使える自由度にある。ということでストリートでの使い勝手の検証だ。

ポジションはストリートトリプル765Rの方が前傾気味でスポーティ。XSR900の方がアップライトで上体が起きる。だが楽な姿勢という意味ではイーブン。両車ともヒザの曲がりもキツすぎず長時間のライディングでも痛くなりにくい。個人的な好みで言えばXSR900のステップは少し前すぎだけど許容範囲内。お尻が痛くなるかどうかについては個人差があるが、シートはXSR900の方がやや柔らかめな印象。ストリートトリプル765Rはどちらかというとスポーツライドに向いたシート形状だ。

差を感じたのはエンジン特性。ストリートトリプル765Rより、排気量があるXSR900の方が低い回転数からトルクが出る。そのため交通が複雑な市街地走行を、よりゆとりを持ってこなすことができる。

ストリートトリプル765Rのエンジンはシャープに回るがトルク感はわずかに細い。同クラスの4気筒よりは押し出しは強いが、XSR900と比べるとちょっと引っ張り気味になってしまう。排気量が少ないから仕方がないが軽快さは一枚上手。混み合った幹線道路もキビキビと駆け抜ける。

画像4: XSR900

XSR900

高速道路でポイントが高かったのはXSR900のクルーズコントロールだ。一度使うとやめられない。ストリートトリプルにもオプションでクルーズコントロールが設定されているが、RSとMotoのみに装着可能で765Rには装着できないのは残念。


ノア セレン CHECK

モダンな最新モデルに乗るか、それともクラシカルな最新モデルに乗るか

画像4: ストリートトリプル765R

ストリートトリプル765R

甲乙つけがたし! 見た目で選んじゃう?

ストリートトリプル、という車名なだけあって、765Rはストリートでは全く気兼ねなく使えて楽しい。シートが高めでハンドルが近く、前輪荷重がちょっと多めという意味ではモダンなハンドリングを持ってはいるものの、パワーモード最強でストリートを走っても全くギクシャクしないし、常用域でのエンジンのしつけは本当に極上。渋滞だってスムーズに走れるし、どこにも無理がないのはストリートトリプルブランドが築き上げてきた歴史だろう。

加えて、シートは左右にも前後にも余裕があるため筆者のような高長身(185cm)でも窮屈さはないし、ハンドル切れ角が大きいため裏道やUターンもストレスがない。万能的な汎用性を持ち合わせているので外車であることを忘れさせてくれるが、一方でアクセルをひとひねりすれば非日常的な世界を感じさせてくれる。排気量が小さ目ゆえの気軽さもあるだろうけれど、トライアンフに一日の長があるな、と感心させられた。

画像5: XSR900

XSR900

XSR900は全体的に大柄で安定志向。混雑した場所ではやたらと幅広いバーエンドミラーと相まってちょっと持て余す感覚もなくはないが、幹線道路に出ればそのサイズ感がむしろ安心感となり、大船に乗ったつもりで悠々と走れた。特に高速道路では排気量分の余裕があり一定速度巡航も追い越し加速に不満もないし、クルーズコントロールも非常に使いやすかった。XSR900は走る場面に関わらず、常にダイナミズムを感じさせてくれるのが魅力だろう。

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