カワサキZ900RSのデビュー直後から様々なパーツを発売し続けている、大阪のケイファクトリー。そのスタンスは現在も変わらず続き、既存のモデルだけでなく2023年モデルにも対応すべくラインナップを拡充中だ。カスタム好きを魅了する大物パーツから気の効いた小物アイテムまで、その種類は膨大だがすべてに共通するのは、バイク好きが納得する仕上がりの高さ。同社Z900RSの最新仕様を二輪ジャーナリスト・小川 勤がレポートする。
※本企画はHeritage&Legends 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

新しさから懐かしさまでどんなスタイルも創出

僕は年に何度もケイファクトリーに足を運んでいるが、カワサキZ900RSが発売された2018年以降、同社の工場で見るZ900RSは訪れる度に姿を変え、台数も増やしながら新しいパーツを纏い続けている。

セパハン&アップハンの仕様違いをはじめ、オーソドックスな1本サス仕様から、往年のネイキッドを思わせる2本サス仕様までを開発し、その姿は本誌でも度々紹介してきた。今回の試乗ではビレットダウンチューブを装着した2023年モデルも用意。ケイファクトリーは、今もZ900RSのパーツ開発を手を緩めずに続けている。

「こんなパーツがあればいいのに」

そんなユーザー目線で開発は行われ、各パーツはバイク好きなら納得のクオリティで届けられる。

その製品ラインナップはとにかく膨大。例えばマフラーだけでも車検対応のスリップオンが14種類、チタンフルエキゾーストはブルーとゴールドの焼け色付きが選べるほか、サイレンサーの形状なども多く展開。スチール製の集合管のほか、レース用などもラインナップする。マフラーはオーナーのライフスタイルを反映させることのできる一番のカスタムだから、その選択肢が多いのは嬉しい。

同社の工場にはマシニングもあり、ビレットパーツも自社生産。ステップやドレスアップパーツはもちろんだが、昔は憧れでしかなかったアルミ削り出しのトリプルツリーやスイングアームも、金属加工のプロ集団が手掛ける。

また、「こんなパーツは作れないだろうか?」というパーツはこの後に紹介する2本ショック仕様が良い例だが、そうしたアイテムにも果敢にチャレンジして新しいカタチを世に送り出している。

すべて新車を購入してデモバイクを製作する。これはケイファクトリーの方針だが、それは大変なこと。でも同社はユーザーの気持ちが冷めないように、様々なスタイルを提案し続けているのだ。

画像: 新しさから懐かしさまでどんなスタイルも創出

ビレットダウンチューブでオリジナリティを主張する

今回、試乗した2台のデモバイクには、ケイファクトリーが開発中のビレットダウンチューブが装着されていた。2023年モデルの通称・黒タイガーカラーの車両にはシルバーを、火の玉カラー車にはブラックを装着。フレームをダブルクレードル風に見せることができ、その存在感は特別だ。また、ダウンチューブの左右を連結し、剛性も確保している。

まず、黒タイガー車で走り出すと、Z900RSのしなやかな特性はそのままに、ハンドリングも馴染みやすい。スチールとはいえ集合のマフラーで大幅に軽量化された車体は、コーナーで思い描いたラインに車体を乗せやすく、バイクとライダーの一体感が高い。Z900RSは軽量化や各部の剛性バランス変更で、ライダーの意思が伝わりやすくなる印象が強く、カスタムの効果を体感しやすいのも人気の理由だろう。

一方の火の玉カラーは、昔ながらのネイキッドをオマージュした仕様で、リヤは純正の1本サスを2本サス化。フロントフォークは倒立を正立化。また緩やかな曲線を描くチタンフルエキゾーストは丸みを帯びたZのスタイルにフィットし、新しさと懐かしさを融合させる。

足まわりにもこだわり、自社製品だけでなく、様々な機能パーツでZ900RSカスタムの可能性を追求。ケイファクトリー製のパーツと他社の先進パーツを組み合わせればここまでできるという好例で、どのアングルから見ても佇まいが良い。また、ビレットダウンチューブのほかにも試作品を装着し、それがZ900RSの研究&開発が続いていることを物語る。

こうしたコンプリートマシンを眺めていると大物パーツに注目したくなるが、ケイファクトリーの隠れたヒットアイテムとして20㎜シート高を下げられるローダウンキット(リンクプレートとサイドスタンドのセット)や、リンクロッドの長さを±10㎜(車高換算だと±20㎜)で調整できるアイテムなど、痒いところに手が届くパーツにも注目したい。車高を上げた際に使えるロングサイドスタンドまで用意しているから、気になればHPをチェックしてほしい。

こうした気配りが、佇まいの良さを演出しているのは間違いなく、ケイファクトリーのパーツはバイク好き集団&金属加工のプロだからこそ生まれる物ばかり。思いと技術、そのふたつがZ900RSをより一層輝かせるのだ。

スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い

画像1: スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い
画像2: スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い
画像3: スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い

Z900RSは排ガス規制強化に対応するため、2023年式から型式が変更された。そのためアフターマーケットのマフラーも新たに認証を取り直す必要があり、ケイファクトリーはこの機会に新しいデモ車を製作。この黒タイガー車の現状はライトカスタムにとどまるが、少しずつ自分の好みに仕上げていくベース状態として見るといい。マフラーは開発中のCSR+スタンダードタイプ。Zのスタイルに良く似合うスチール製直管スタイルだ。2023年モデル用もJMCA認証を取得して近日販売予定だ。

画像4: スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い
画像5: スチール製の集合管が生み出すマイルドなエキゾーストノートが良い

ブラックアウトされたエンジンまわりに映える、開発中のビレットダウンチューブ。アルミ削り出しでボルトオン装着が可能。裏側は肉抜きされて軽さと剛性を両立。エキパイの裏側で左右のフレームを連結しているのもポイントだ。下に紹介する火の玉カラー車には、そのブラック仕様が装着される。

時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい

画像1: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい

ケイファクトリーはデモ車として正立フォークや2本サスを装着したわけではなく、このスタイルを実現するためのキットはすべて販売中だ。このスタイルを完成するにはコストはかかるし、セットアップするための知見は相応に必要となるが、こだわりのZ900RSカスタムでその楽しみはグッと広がるはずだ。

画像2: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい
画像3: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい
画像4: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい

前後ホイールはマジカルレーシングが取り扱うBST製カーボンに変更。2本サス化にも対応するスイングアームは24万4200円。標準はアルミバフ仕上げだがオプション(+2万2000円)でカラーオーダーも可能だ。アルミ製チェーンケースやスプロケットガードは開発中のプロトタイプだ。

画像5: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい

装着されるマフラーは、JMCA認証のチタン製CLR-R+フルエキゾーストラウンドサイレンサー(25万8500円/〜2022年モデル、26万9500円/2023年〜)を装着する。直線部分のない美しい曲線を描くエキゾーストパイプが理想的な排気を予感させる1本。ポリッシュしたチタンに施されたブルーの焼け色がとても鮮やかだ。

画像6: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい
画像7: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい
画像8: 時代に逆行する前後サスの仕様!? でもそのスタイルはとてもZらしい

オリジナルのトリプルツリー(19万8000円)を使ってφ43㎜の正立フロントフォークを装着可能にする。ハンドルはマジカルレーシング製カーボン。アルミテールカバー(6万3800円)やフェンダーレスキット(1万3750円)、4ポジション可変のステップ(6万3800〜6万6000円)、左右兼用のレバーガード(1万450円)もケイファクトリーがラインナップする人気アイテムなのだ。

取材協力:ケイファクトリー

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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