文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:柴田直行
ハーレーダビッドソン「CVO ロードグライド」「CVO ストリートグライド」インプレ(宮崎敬一郎)
スポーティな走りもこなせる懐の深さ!
ハーレーのCVO(カスタムビークルオペレーション)のロードグライドとストリートグライドがモデルチェンジした。この両車はカウルとそのマウント方法の違いが主な相違点。エンジン、シャシー、パニアや電装関係、ライディングアシスト群などは共通だ。
新型はそんなカウルやパニアなどのスタイリングを一新。両モデルとも印象的なデザインのLEDヘッドライトを採用、特にロードグライドの、カウルにビルトインされた大型のウィンカー兼デイライトが新鮮だ。
前モデルから最も大きく変わったのはエンジン。搭載する空水冷の 「ミルウォーキーエイト」エンジンは、新たに可変バルブタイミング機構(VVT)を搭載しながら排気量も拡大。ついに121キュービックインチ(1977cc)となり、最高出力も10馬力ほどアップした115PSとなっている。
エンジン外観は同じミルウォーキーエイトの117(1927cc)とよく似ているが、その出力特性やパワードライバビリティに関わる制御は大きく見直された。ライディングモードの中でも、最も強力な「スポーツ」モードでのパワードライバビリティは絶品。これまでの117も力強かったが、スロットルを少し開けた時点から、リニアにトルクを抽出でき、滑らかなレスポンスのまま、スムーズに、これまでよりずっと強力な「本気のトルク」ヘと繋げていく。
今回試乗した場所は、富士スピードウェイの国際レーシングコース。なので、相性のいい「スポーツ」モードで走っていたのだが、コース以外でも、そのままのモードで自在にUターンや8の字走行もできてしまう。回した時も強力だが、この低回転域での使いやすさにVVTの狙いがあるように思うが…今回の試乗中、いろいろ試してみても、カムの切り替えは自然で、いつ切り替わっているのか分からないほどのスムーズさだった。
この巨大なツアラーは低重心で車体剛性も高い。前後タイヤのバランスもよく、長い車体なので強力な旋回性…とはいかないが、そこそこ身軽に、自然にサーキットを走れた。ブレンボキャリパーもなかなか強力で、苛酷な急制動を連続しても熱ダレなど起こさない。このサイズのバイクとしては驚異的だ。
新型CVOは、どちらも様々な高級装備をまとった快適ツアラーなのに、高速スポーツ走行までこなせてしまう、今回そのポテンシャルは更に上がった印象だ。