RZシリーズで2ストを最前線に復活させたヤマハが次に送り込んだのは、市販レーサー・TZの技術をそのまま投映したかのような高性能レプリカだった。その名もTZR。10年以上の長きにわたって高性能を誇った、2ストスーパースポーツの出発点がここにある。
文:オートバイ編集部/写真:松川 忍
文:オートバイ編集部/写真:松川 忍
ヤマハ「TZR250」各部装備・ディテール解説

スピードブロックと呼ばれるカラーはワークスイメージそのもの。後年、ゴロワーズカラーをイメージさせるグラフィックのブルーも追加になった。

YZR500のフィロソフィーを継承するアルミデルタボックスフレームは、RZ250RRのスチールフレームに対して40%軽く、剛性も40%高かった。
エンジンはクランクケースリードバルブを採用。YZR500の技術とノウハウを、市販レーサーのTZ250と共有したユニットだ。

フロントディスクは320mmローターに対向4ポットキャリパーの組み合わせ。効力と軽量化のバランスを取ってシングルディスクとしている。

チャンバーとサイレンサーはブラックアウトされ、スイングアームはアルミの角アーム。リアのブレーキローターは173mm径を採用。

フロントマスクはまさにTZイメージ。ヘッドライトはシンプルな角目1灯。別体でナックルガードがアッパーカウルに追加された。

タコメーターを白文字盤としたインパネ。スピード、タコとも、スタートの0位置は水平位置とされたのは、当時のヤマハのトレンド。

TZR250(1989年)
2代目は後方排気!
TZ250が1987年に後方排気になったのを受けて、TZRも1989年に後方排気化。吸気効率は高まりレースでも活躍したが、長すぎる車体サイズ、セッティングがシビアな吸気系など弱点も多かった。翌1990年には乾式クラッチ採用の「SP」も登場している。
ヤマハ「TZR250」主なスペック・当時価格
全長×全幅×全高 | 2005×660×1135mm |
ホイールベース | 1375mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 760mm |
車両重量 | 126kg(乾燥) |
エンジン形式 | 水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 56.4×50.0mm |
圧縮比 | 6.4 |
最高出力 | 45PS/9500rpm |
最大トルク | 3.5㎏-m/9000rpm |
燃料供給方式 | キャブレター(TM28SS) |
燃料タンク容量 | 16L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 26°00′ |
トレール | 96mm |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 100/80-17・120/80-17 |
当時価格 | 54万9000円(1985年) |
文:オートバイ編集部/写真:松川 忍