ホンダの「CT125・ハンターカブ」と「クロスカブ110」は、アクティブ感満載の大人気カブシリーズ。それだけにいざ買うとなると、どちらを選択しようか悩んでしまう人も多いことだろう。そこで毎度お馴染みのノアと横田の凸凹コンビがズバッとお悩み解決します! さらに連載企画「原二で下道放浪記」で1年間クロスカブ110をイジり倒してきたオートバイ誌・黒田も特別参加!
文:ノア セレン、横田和彦、オートバイ編集部・黒田/写真:南 孝幸

「CT125・ハンターカブ」VS 「クロスカブ110」|ツーリング比較

画像1: 「CT125・ハンターカブ」VS 「クロスカブ110」|ツーリング比較

カブシリーズの万能性をロングランで見極める!

一見すると両車とも大きく違わないように見えるかもしれないが、実は細部まで大きく異なっている。さらに2台を走り込んでいくとその違いがより明白になってきたようだ。

画像2: 「CT125・ハンターカブ」VS 「クロスカブ110」|ツーリング比較

ライディングポジション

両車の足つき性の違いはシート高だけじゃない

スペック上のシート高の違いは16mmだが、実際はもっと差を感じる。その理由は車体の幅。ハンターカブはボディの膨らみの影響で足を下ろすと左右に広がってしまうのだ。取り回しではハンターカブにはズッシリとした重量感があり、クロスカブの方が軽々と移動できる。

画像3: 「CT125・ハンターカブ」VS 「クロスカブ110」|ツーリング比較

CT125・ハンターカブ

全高:1085mm/全幅:805mm
車両重量:118kg/シート高:800mm

画像1: ライダー身長:165cm

ライダー身長:165cm

クロスカブ110

全高:1110mm/全幅:795mm
車両重量:107kg/シート高:784mm

画像2: ライダー身長:165cm

ライダー身長:165cm


フロントまわりの構造の違いが走行フィーリングに大きく影響している

両車の大きな違いのひとつがフロントまわりの構造。2台とも従来のスーパーカブに採用されていたボトムリンク式とは異なり、一般的なバイクと同じテレスコピック式。だがクロスカブはステムの下までで、その上はハンドルまで1本のパイプになっている。

対してハンターカブは一般のバイクのようにステムを上下で挟む形状。剛性はハンターカブのほうが上で、実際にコーナーで体感できた。しかし速度レンジなどを考えればクロスカブの方式でも十分効果があり、製造コストが抑えられるというメリットもある。

画像: CT125・ハンターカブ(左)とクロスカブ110

CT125・ハンターカブ(左)とクロスカブ110


リアホイールまわりもけっこう違うぞ!? コンセプトの違いが感じられるポイント

2022年モデルからキャストホイールになったクロスカブ。チューブレスタイヤになったことでパンク修理などもより簡単になったことも進化したポイント。ただリアブレーキはコストが抑えられるドラム式。制動力は十分だが、見た目のメカニカル感やタッチなどはハンターカブのディスクブレーキに軍配が上がる。

またチェーンカバーは、クロスカブが伝統のフルカバー式でハンターカブは一般的なオープンタイプ。フルカバー式はチェーンオイルの飛散や衣類の巻き込みを防ぐメリットがあるが、メンテナンスはオープンタイプのほうがやりやすい。

画像: クロスカブ110(左)とCT125・ハンターカブ

クロスカブ110(左)とCT125・ハンターカブ


横田和彦 CHECK

排気量は違うが似ている…でも、やっぱり違う!?

画像: ハンターカブ・CT125

ハンターカブ・CT125

街中では差が少ないが、コーナーでは違った!

クロスカブとハンターカブ。スーパーカブをベースにオフロードテイストにしているという共通点はあるが、そもそもベース車両がクロスカブはスーパーカブ110で、ハンターカブは上位モデルのスーパーカブC125だ。その違いがそれぞれの走行フィーリングに反映されている…はずなんだけれど、実際に乗り比べると思ったほど差がないように感じた。信号からのスタートでは排気量がある分、ハンターカブの方が力強く加速する。

しかしクロスカブは13kg軽いことを活かし、意外と遅れずについていく。さらに動きが軽快で荷重移動に対してキビキビと反応。結構やるなクロスカブってな感じで2台を振り回しながら乗っていたらハンターカブの前後バランスの悪さに気付いてしまった。リアまわりが重く、カーブで後ろから外に引っ張られるような感じがするのだ。これは高い位置にあるマフラーと大型リアキャリアの影響ではないか。う〜ん、そうか〜と少し残念に思いながら大好きなワインディングへ。

画像1: クロスカブ110

クロスカブ110

ここでは特性の差がハッキリと感じ取れた。トルクはあるが後部が重いハンターカブに対して、パワー感は薄いが軽くてバランスがいいクロスカブ。しかし、個人的に一番差を感じたのはフロントの剛性感だ。一般的なバイクと同じ構成のフロントフォークを持つハンターカブの方がブレーキをしっかりとかけられ、バンク中の挙動も安定している。コーナーリングスピードも高くスポーティな走りができるのだ。これでリアまわりを軽量化したらもっと峠道を楽しめそう。そんな伸び代をハンターカブに感じた。


ノア セレン CHECK

「カブ域」での個性か? それともカブの領域を超えた「プレミアムカブ」なのか!?

画像2: クロスカブ110

クロスカブ110

チェーンケースの有無これが「カブイズム」

明らかな兄弟車なのに、確かに違うのは何なのか……その核心がよくわからなかったけど、クロスカブのみに採用されるチェーンケースを見た時に「アッ!」と思った。「そうだ! クロスカブはクロス『カブ』なんだ!」と。

2台を走らせると驚くほど似ている。そりゃハンターカブの方が排気量が大きい分トルクフルに感じるし、クロスカブの方が軽量な分、運動性は高いけど、一般道で一緒に走っても、ワインディングで追いかけっこをしても本当に甲乙つけがたし! って感じで仲良く走れちゃう。2台を交換しながら一日乗ってると、時として「あれ、今どっちに乗ってるんだっけ」と思っちゃう時もあるほどで、もうこれは見た目で選んで良いんじゃん? と思ったりもする。

画像1: CT125・ハンターカブ

CT125・ハンターカブ

でも、やっぱり違いはちゃんとある。長い登り坂ならパワー的にハンターカブが有利だし、スピードが乗るコーナーでの安定性はフロント周りのシッカリ感が活きている。またギア比もロングだから息の長い加速が楽しめるのも個性だね。

対するクロスカブは前後のバランスが良いのと軽量さが持ち味ではあるけれど、それに加え各部の実用装備が印象的。ギアポジ表示やメットホルダーもあるし、時計も常時表示。キャストホイールになってからはパンクも安心だし、「使えるヤツ」だ。

ハンターカブは「カブ」の枠を超えたレジャーバイクでホンダの「夢」を運んでるのに対して、クロスカブは「蕎麦屋の出前」というカブの初心を今も持ってるんじゃないかなあ!

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