文:オートバイ編集部/写真:森 浩輔、Honda
ホンダ「EM1 e:」開発者インタビュー
幅広い層が楽しめるフレンドリーな1台
厳しさを増していく排出ガス規制のあおりを受け、ガソリンエンジン車の存続が危ぶまれている原付一種。一方で、原付一種は通勤、通学といった「生活の足」として長い間、国内に定着もしており、公共交通機関が行き届いていない地方では欠かすことのできない重要な交通インフラとして認識されている。
そんな中で、ガソリンエンジン車に代わる新世代の「日常の足」として注目されるのが原付一種相当のEV。ついに個人向け販売の始まったEM1 e:のコンセプトや魅力、使い方などを、プロジェクトリーダーの後藤さんに聞いてみた。
「EM1 e:は、毎日の便利な足として、通勤・通学をメインとした使い方をイメージして開発しています。EVですからメンテナンスフリーですし、電動ならではの静かさと振動の少なさで、スムーズに、快適に走れますから、非常にフレンドリーだと思います。静かなので、お仕事などで早朝や深夜に乗るという方にも合っていると思いますし、帰りにちょっとお買い物や寄り道をして距離が伸びても充電の必要がないよう、航続距離にもちょっと余裕を持たせています。ぜひ毎日使っていただいて、EVの気持ち良さを体感していただけたら嬉しいです」
学生からベテランまで、幅広いユーザーが使う原付一種だけに、スロットル制御やパワーフィールなどの設定も大事になってくる。そのあたりの味付けや走りのフィーリングについて、プロジェクトリーダー代行の内山さんに教えていただいた。
「このEM1 e:では、特に発進時や10km/h以下の極低速域で、スロットル開度に応じた指令をきめ細やかな設定として、急発進とならないように制御しています。パワーフィールのイメージとしては、20~25km/hくらいまでスムーズに伸びていって、30km/hくらいで安定する感じです。
また、EM1 e:ではハンドリングにもこだわっていまして、最も多用される低速域での走りやすさを考え、軽やかなフットワークを大切にしています。実際に乗っていただくと、操る楽しさがしっかり備わっているのをご体感いただけると思います。ガソリンエンジンを搭載する通常のオートバイと違って、鼓動感やサウンドこそありませんが、EVにも走る楽しさがありますので、まずは乗っていただいて、楽しさを実感していただけたら嬉しいですね」
ホンダ「EM1 e:」主なスペック・生産国・価格
全長×全幅×全高 | 1795×680×1080mm |
ホイールベース | 1300mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 740mm |
車両重量 | 92kg |
原動機形式・種類 | EF16M・交流同期電動機 |
定格出力 | 0.58kW |
最高出力 | 1.7kW(2.3PS)/540rpm |
最大トルク | 90N・m(9.2kgf・m)/25rpm |
動力用バッテリー | Honda Mobile Power Pack e: 1個 |
タイヤサイズ(前・後) | 90/90-12 44J・100/90-10 56J |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
製造国 | 中国 |
メーカー希望小売価格 | 車両・バッテリー・充電器のセット:税込29万9200円 |
車両のみ:税込15万6200円 | |
Honda Mobile Power Pack e:(バッテリー):税込8万8000円 | |
Honda Power Pack Charger e:(充電器):税込5万5000円 |
文:オートバイ編集部/写真:森 浩輔、Honda