文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝
ヤマハ「XSR125 ABS」インプレ(太田安治)
優美なスタイリングと穏やかなハンドリング
2019年にアジア市場向けに登場したのがXSR155。その日本仕様が原付二種区分に合わせて124ccとしたXSR125だ。
以前からこの姿は見ているだけに新鮮味は…と思っていたが、実車を見ると外装デザインから細部パーツの仕上げまでヤマハらしい拘りがあり、改めて魅力的に映る。実際はデルタボックスフレームに倒立フォーク、リンク付きモノショックという現代的な車体構成なのだが、ティアドロップ型タンク、タックロール表皮のシート、丸形のヘッドライト/メーター/テールランプで優美な雰囲気を演出。50歳以上のライダーなら懐かしさも感じるだろう。
この優美さは跨がっても変わらない。高めにセットされた幅広のハンドルで上体は直立。シートが前下がり形状ではなく、着座位置からステップまでの距離も確保してあるので腰の落ち着きが良くて膝の負担も少ない。ゆったり走りに相応しいポジションだ。
エンジンも車体もストリートファイター的なキャラクターのMT-125と共通だが、このポジションとフロントタイヤの太さの差が乗り味の違いを生んでいる。あまり車体姿勢を変えずにスパッ! と曲がるMTに対し、XSRは加減速によるピッチングを感じやすく、曲がり方も穏やか。ミニサーキットで比較試乗したときにはMTの旋回力に優位性を感じたが、市街地ではXSRの旋回性で充分。むしろ穏やかな特性で気を使わずに乗れるから、長時間ライディングも快適だ。
15馬力というエンジン出力はEUのA1免許への対応もあるのだろうが、ピークパワーを追わずに済むことで中回転域での力強い特性が得られている。この特性には7400回転で吸気バルブ側カムシャフトのプロファイルが切り替わるヤマハ独自のVVA機構も効いているはず。
だがパワーフィーリングや吸排気音が急に変わることはなく、一定の加速感でトップエンドまで伸びていく。VVAは本来のエンジン特性をアシストする縁の下の力持ち的な存在と捉えていい。
フロントブレーキの制動力の立ち上がりを強めて欲しい、シフトペダルの高さ調整機構が欲しい、シート上にバッグを固定するための荷かけフックが欲しい…など、注文を付けたい部分もあるが、エントリーユーザーは安心して乗れ、ベテランでも所有感を満たしてくれる。原付二種クラスがさらに盛り上がることは間違いない。
ヤマハ「XSR125 ABS」カラーバリエーション
ボディカラーはライトブルー、オレンジ、シルバー、ブラックの全4色。ボディカラーごとにグラフィックを変えるこだわりぶりだ。
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