現代的に手を入れるを基本路線として発展させる
堂々としたスタイルやビッグバイクらしいトルク感、そしてさまざまなシチュエーションに合った走りが楽しめるゼファー1100。キャブレターによる空冷ネイキッドモデルらしく手を入れる幅も広く持っていて、軽量化やフロント17インチ化(標準はフロント18インチ17インチ)など、多くのカスタムメニューが楽しめる。
この車両はそんなゼファー1100にもう10年以上をかけて、パートごとに手を入れていき、それぞれの段階での変化も楽しみながら、このほど完成に至ったというものだ。
「オーナーさんは元々ゼファー(400)に乗っていて、その車両も空冷Zで言ういわゆる〝研二君仕様〟(コミックス“あいつとララバイ”の主人公、研二の愛車。赤×白の火の玉パターン外装に赤いフレームのZ2)のイメージでした。その後1100に乗り換えたんですが、フレームも外装も研二君仕様を引き継ぐカラーになりました」
この車両に手を入れてきたバグースモーターサイクル(以下バグース)の土屋さんは言う。内容はどう作られているのだろう。
「現代的に手を入れていこうというのが基本路線になっていて、エンジンも乗り換えから早い段階で純正1062から1135cc仕様にしています。足まわりは定番と言える前後17インチで、当初は純正流用ホイールを履いていましたが、それがエア漏れしていたのでアルミ鍛造品に履き替えました。
作業は、何かを変更してはその効果を確かめて、じゃあ次はここやりますという感じで進めました。メーターもエンジン回転計をスタックにしていたんですが、後に速度計もスタックで揃えました。そして待ちに待ったウイリー製スイングアームも装着できて、完成ですね」
使用パーツや作業の進め方に違いはあっても、軽くしていくことで車両へのとっつきやすさや取り回しを良くする。これと同時に走りの質も上がる。もちろん、ルックスも良くしていく。その上で1100ならではの余力も楽しめるように作り込むというのは、バグースでゼファー1100に手を入れる際のひとつの指標とも言える。
この車両では段階的にその変化も楽しんだ、つまり手を入れるごとの内容をオーナーも気に入り、また次の変化=要望を依頼するサイクルが続いて完成形に進んだということで、バグースが立てる指標も、作業内容も信頼できてのことだと理解できる。
「所有して、乗って楽しいバイクを提供する」という考えも根底に持つバグース。ベース車を持っていればこの車両のように順に手を入れることも出来る。また、必要な要素を詰め込み、最初からこのようなフルカスタム状態で楽しめる〝ゼファー・コンプリートカスタム〟も製作・販売する。このゼファー1100は、その両方の見本、現代的な作り込みを得たゼファーとして注目しておきたいのだ。
▶▶▶ヘリテイジ&レジェンズが取材した最新のカスタム・バイクはこちら!
Detailed Description 詳細説明
メーターは純正ケースにスタックメーターをセット。エンジン回転計がスタックST200、速度計は距離計表示も持つスタックST-3852。ほかにヨシムラ・プログレスメーターも追加する。ステムはしゃぼん玉の35mmオフセット(純正は40mm)/ウイングタイプでハンドルはRISE製セパレートHIGHをマウントする。左右マスターはブレンボRCSだ。
外装はモチーフの火の玉そのものでなく、タイガーパターン(ライン間はラップ塗装)と火の玉を組み合わせたような白×赤でペイントされる。シートもホールド性の良いものに変更した。
フレームはレッドに塗装され、ピボットプレートはブラック仕上げ。クラッチレリーズはポッシュフェイスの2ピースタイプに換わる。ステップにはストライカーをチョイスした。
エンジンの再構築は早くから行われ、JEφ76mm鍛造ピストンでの1135cc化が行われている。今ならバグース扱いのオメガ製鍛造ピストンで同サイズを選択すると考えていい。ケースカバー類はウイリー製を装着する。
キャブレターはFCRφ37mmをバグース・フルチタンエキゾーストに組み合わせる。ブリーザーカバーはしゃぼん玉製を使う。
オイルクーラーはアクティブ・ラウンドタイプとして冷却性も考慮。メッシュ密度を変えたクーラーコアガードはウイリー。
フロントフォークはオーリンズRWUでフロントブレーキはブレンボ484カフェレーサーキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせ。
リヤブレーキはブレンボGP2-SS CNC 2Pキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスク。リヤショックはオーリンズ・フルアジャスタブルをマウントしている。
スイングアームはウイリー7N01目の字断面で、ホイールはラヴォランテ・レジェンダの3.50-17/6.00-17サイズ。リヤタイヤは180/60サイズを履く。ドライブチェーンはEK・ThreeDだ。