カスタムの手法を応用してくたびれた純正を再生

’73年型の初代Z1の登場以来、’70年代と世界を席巻したカワサキZ。’80年代に入る頃にはライバルも多数登場したが、Z自体もアップデートし、’81年のZ1000(J)へとバトンを引き継いだ。この車両はそのJ。手を入れたのは同世代のライバル車、ホンダCB-Fシリーズを多く扱う安田商会だ。

「元々は現オーナーが前オーナーから譲り受けた車両でした。それが譲り受けた時点でだいぶカスタムされてたんですけど、時間も経っていたこともあって乗りにくい。それで“動けばいい”ではなく“安心してきちんと走れる”ように仕立て直したんです」

同店・安田さんの言う背景は、現存する’80年代モデルの多くが直面し、解決したいもののようだ。実際に行った作業も含めて、ポイントを聞いてみよう。

画像1: カスタムの手法を応用してくたびれた純正を再生

「まずは固着して動かないとかいうところはまず動くようにして、可動部分はグリスアップ、消耗品は交換。この車両でもそうです。フロントフォークスプリングはへたっていたので換えて、リヤサスも同様。ブレーキまわりも消耗品はまず換える。マスターも換えるとなおいい。

キャブレターも同様で、この車両では他モデル用のCVKに換えてあったのがガタガタになっていましたから、FCRの新品にしてセッティングし直してます。エンジンはノーマルでしたが大丈夫と分かったので、腰上を見直ししてガスケットも交換しています」

マフラーも以前の、よりカスタム的なものだったのを、今入手できるスタンダード的なものとして、ブラックのステンレスメガホンを選択と、全般的に良くないところを見直し、ノーマルに近づけている。

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「小細工なしに純正で手に入る物は使って、手に入らないものは逆に手に入るカスタムパーツを使いました。カスタムパーツにも純正寄りというものもあるので、それを選んで。パーツは使うけど使い方は整備方向という感じです」

こう安田さんが言うように、この車両のノーマルプラスアルファのルックスにもきちんと理由がある。思えばZ系のパーツ、とくにアメリカ発のものには、そんな純正互換の意味を持ったものも多かった。

これまでに紹介してきたCB-Fカスタムでも、キャブレターやブレーキまわりは換装して時間が経ったならリフレッシュをと勧めてきた安田さん。このJはカスタムという技術を、別の角度から旧車、’80年代モデルに応用した好例と取っていいだろう。

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マイル/キロ表示併用のメーターやφ38mmフォークをクランプするステアリングステムは北米仕様KZ1000J純正の仕様。フロントマスターやクラッチホルダーは現在の市販車から流用する。これもアップデートのひとつだ。

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北米仕様J1/J2で標準装備された丸タンクも北米向けKZ1000J純正(欧州仕様はZ1000Jでは角タンク)。シートも純正を加工して使う。

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シンプルなプレート構成のステップはPMCのS1-TYPEバックステップを使う。これもこの車両に施された純正ライクな仕立てに向いている。

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φ69.4×66mmの998ccエンジンは状態が良いと分かったため腰上オーバーホールで今後に向けて対処。状態によっては腰下オーバーホールも、またハーネス類も新品にするのがいいと安田さん。

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キャブレターは換装されていたCVK(負圧式)がガタガタで、今回FCRφ35mmの新品に換装してエアストリームフィルター仕様で使う。カスタム済み車両もキャブレターを新品に換えてやると調子が良くなる、戻るので管理しておきたいとのことだ。

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φ38mmのフロントフォークはスプリング変更した上でリヤサスと合わせてセッティング。フロントの片押し1ピストンキャリパーやディスクはKZ1000J純正だ。

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リヤキャリパー&ディスクもそれぞれ純正だが、ブレーキラインは前後ともステンレスメッシュに。フルードほか消耗品はしっかり換えられる。

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リヤショックはルックスもZ1000Jに合うYSSに変更してリバランス。1.85-19/2.15-18サイズのホイールや丸パイプのスイングアームは純正だ。ドライブチェーンとスプロケットはサンスターを使う。

取材協力:安田商会

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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