オートバイ然としたオーセンティックなデザインも、オーナーの遊び心をくすぐるGB350。これで70'sカフェレーサーを作ったら...。そんな想いを実現して見せたのが、老舗パーツメーカー・アクティブのネオクラシック系ブランド『153GARAGE』による、このカフェレーサー風デモバイクだ。いかにも走りそうなその外観。その味わいをレポートしよう。
文:中村友彦/写真:徳永 茂

アクティブ『153ガレージ』GB350 S CUSTOM インプレ(中村友彦)

画像: ACTIVE 153GARAGE Honda GB350 S CUSTOM

ACTIVE 153GARAGE
Honda GB350 S CUSTOM

スタンダードで感じた、いくつかの気になる要素

2021年春のデビュー時に初めて体験して以来、GB350/Sは僕にとって大のお気に入りで、どれだけ乗っても飽きがこないものだから、これまでに仕事にかこつけて借り出しては、2000km以上の距離を走っている。一方で、非の打ちどころがないのかと言うと、必ずしもそうではなく、そんな試乗中にじっくり考えてみたところ、いくつかの気になる要素が出てきたのだ。

その1つ目は、あまりにも扱いやすいためか、漫然とした気分で乗っていると操る手応えが感じづらいこと。もちろん、扱いやすさは否定するべきではないのだが、バイクからの主張が控えめで、乗り手の方から積極的に歩み寄らないと、意外に抜群の運動性が実感しづらい。これはもったいないことだと思う。

2つ目は、カスタムに対する意欲があまり湧いてこないこと。と言っても、世の中にはGB350/Sでカスタムを楽しんでいる人が大勢いるのも知っている。でも僕の場合はこのバイクに乗っていると、マシン全体のバランスの絶妙さに感心するばかりで、そのバランスを崩すことに不安を抱いてしまい、有効な改善策がなかなか思いつかないのだ。

そして3つ目は、350cc単気筒にしては車格が大柄なこと。これも、大柄は決して悪いことではないし、一般的な体格の成人男性なら、GB350/Sの車格に不満を感じることはないだろう。けれど、もう少し車格が小さくて車重が軽く、足つき性が良好な仕様が存在したら、このバイクは現状以上の大人気を獲得できるんじゃないだろうか。

以上が過去の試乗で気になった点なのだが、これらはいずれもあえて言えばの話で、GB350/Sの評価に影響を及ぼすものではない。ところが今回、アクティブのGB350Sを体験した僕は、そんな気になる点がカスタムで解消できること、バランスは再構築できること、このバイクにはいろいろな方向性の伸びしろが備わっていることを改めて実感させられたのである。

画像1: アクティブ『153ガレージ』GB350 S CUSTOM インプレ(中村友彦)

本題に入る前に説明しておくと、当記事で紹介するカフェレーサースタイルのGB350Sは、パーツメーカー/サプライヤーのアクティブが、ネオクラシックモデル用カスタムパーツのブランドとして新しく立ち上げた『153ガレージ』のデモバイクの第一弾である。

なお153ガレージのコンセプトは、機能美だけに囚われず、ネオクラシックモデルの雰囲気をデザインに盛り込み自由な発想でもの作りを行うことで、その表現の字面だけ読むとルックス重視という印象を持つ人がいるかもしれない。けれど、同社のGB350Sに機能性で妥協した気配は微塵もなく、既存のアクティブのデモバイクと同様に、各パーツの効果が明確に体感できた。

中でも嬉しかったのは、操る手応えがハッキリしたこと。どんな場面でも穏やかで安定しているスタンダードとは異なり、この車両には、走る・曲がる・止まるという挙動の主張があるから、自分の意志で操っている感が得やすく、マシンとの対話が楽しみやすいのだ。

その主な要因は、サイズをF:19/R:17インチから前後18インチに改めると同時に前後で約4kgの軽量化を果たしたホイール、良好なタッチが得られる削り出しのフロントキャリパー、上質な動きを実現するハイパープロのフォークスプリング&リアショックなどで、車体の動きは明らかにスタンダードより軽快でダイレクトになっている。

画像2: アクティブ『153ガレージ』GB350 S CUSTOM インプレ(中村友彦)

中でも感心を通り越して驚かされたのは、数多くのパーツを変更し、ディメンションやライディングポジションがスタンダードとは別物になっているのに、マシン全体のバランスに違和感がなかったことだった。

この解決は同社でも一筋縄ではいかなかったようで、良好なバランスを求めて試行錯誤を重ねた末に、リアショックをスタンダードより20mm短いローダウンバージョンとし、低重心&低車高化という方向性で車体各部のセッティングが行われている。その効果は絶大で、同社のGB350Sの車格感は明らかに、スタンダードより小さかったのである。

もちろん、車格感の小ささには153ガレージオリジナルのライディングポジション関連パーツも利いているだろう。セパレートハンドル&バックステップというと、レーシーでツラそうなどと感じる人がいそうだが、同社の製品はその位置設定が的確で、むしろフレンドリーさを増しているように感じさえもするのだ。

また、冒頭に記した気になる要素の解消とはちょっと異なる話になるけれど、今回の試乗では車体右側に装着されたパフォーマンスダンパーの効果を確認したかったので、途中でこの部品を取り外して走行してみた。

そうしたら興味深いことに、乗り手の操作に対する反応がやや鈍くなり、車体の芯が何となく把握しづらくなったのである。外したところで乗り味の露骨な悪化を感じたわけではないのだが、共振の抑制を主な目的とするパフォーマンスダンパーはライダーの疲労低減はもとより、ハンドリングや車格感にも多大な影響を及ぼしているのである。

どこから着手するかはオーナーの趣向で決めよう

画像3: アクティブ『153ガレージ』GB350 S CUSTOM インプレ(中村友彦)

さて、実際にアクティブ/153ガレージのカスタムパーツを用いてGB350/Sをカスタムするとなったら、どこから着手して、どんな方向性を目指すといいのだろう。

カフェレーサー気分を味わいたいというなら、トップブリッジ&セパレートハンドルキットとバックステップ、シングルシートカバーを同時装着するべきだろうし(7万7000円+7万4500円+4万9500円)、車格感を小さくして足つき性を良好にしたいなら、まずはフロントフォークスプリングとリアショックがセットになった、ハイパープロ・ストリートボックスのローダウンバージョン(16万2800円)を手にするのもいい。

一方で、ノーマルのGB350/Sのスタンダード状態にコレといった不満がないというオーナーの場合には、振動低減により長距離の移動でも格段に疲れを感じなくなる、パフォーマンスダンパー(3万8500円)を装着するという選択肢もアリかもしれない。

自分自身の懐事情はさておき、ロングランとスポーツライディングが大好きな僕なら、前後ホイールの換装とショックの変更(26万1800円+14万8500円)、そしてパフォーマンスダンパー装着あたりから始めるのが面白そう、と感じている。

This article is a sponsored article by
''.