文:横田和彦/写真:南 孝幸
KTM「390 DUKE」インプレ(横田和彦)
排気量アップや電子制御システムの充実で、シャープな走行フィールに磨きがかかった!
“ザ・コーナー・ロケット”というキャッチフレーズにふさわしい、アクティブな走りが身上のKTM 390DUKEがフルモデルチェンジを敢行した。DUKEシリーズが登場して30周年となる今年、ほぼ全てのDUKEシリーズが一新されるのだが、この新型390DUKEがその先駆けとなったカタチだ。
エンジンはストロークを4mm伸ばし排気量を約25ccアップ。シリンダーヘッドやギアボックスを最適化し最新の排ガス規制に適合させた。フレームは新設計のスチール製トレリス・メインフレームにアルミダイキャスト製のサブフレームをセット。倒立フォークは伸/圧の減衰力が5段階で調整可能なWP製APEXオープンカートリッジ式。右側にオフセットされたリヤのモノショックは、プリロード調整&伸側減衰力の調整が可能とかなり豪華な仕様になった。
電子制御システムはライドモードが3段階(レイン/ストリート/トラック)から選べるようになり、コーナーリングABSやON/OFF可能なトラコンの採用など、上位機種と比べても遜色ない内容に。各部の大幅なレベルアップに走りへの期待も高まる。
またがると5インチTFTディスプレイメーターの向こうに何も見えないことに気付く。まるでフロントタイヤが自分の真下にあるかのような感覚。それほど前に座っているわけではないが、ちょっと不思議な感じだ。
セルボタンを押してエンジンをかけるとショートマフラーから消音されつつも歯切れの良いサウンドが響く。新設計の高回転型シングルエンジンは、吹け上がりの鋭さを継承しつつもトルクデリバリーがより滑らかになっていて、扱いやすさが向上。特に中回転域から高回転にかけてのつながりがスムーズになっているので、一度アクセルを閉じてからの再加速でも車速が一直線に伸びていく。
サスペンションのクオリティが上がったことにより、先代よりも車体の挙動にメリハリがでた。前後ともスポーツ・サスペンション的なフィーリングで加減速時のピッチングモーションは少ないが、短いストローク内でしっかりと仕事をしているので乗り心地は悪くない。またディメンションや重量バランスの最適化などによってクイックなハンドリングがブラッシュアップされているため、速度レンジに関わらず狙ったラインをトレースしやすくなっていることにも好感を持った。
それらの特性が体感できたところでワインディングに突入。進入ではフロントタイヤを上から路面に押し付けるようにブレーキング。ハードにかけても車体がブレそうな気配はない。荷重移動すると即座に寝ていき、バンク角の調整も自在。速度をキープしながら出口が見えたところで徐々にアクセルを開けていく。リアタイヤに確実にトラクションがかかるのを感じながら立ち上がると次のコーナーに向かって鋭くダッシュする。そんな一連の流れが思いのままにできるので、爽快な気分で峠道を駆け抜けることができた。
新型390DUKEは扱いやすさが向上していて、幅広いライダーに薦められる。積極的にアクセルを開けていくアグレッシブな走りにも対応し、さまざまなライディングシーンにフィットする懐の深いバイクに進化していた。
KTM「390 DUKE」カラーバリエーション
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