文:中村浩史/写真:松川 忍
スズキ「RGV250Γ SP」特徴
最後の2サイクルにスポーツバイクの幻を想う
もう一度聞きたい「最後の2ストを作ろう」の声
1950年代から実用化され、構造がシンプルで軽量、と発展を始めた2ストエンジンは、1980年代あたりから、コンパクトで高出力というキャラクターの方が大きく注目され、レーサーレプリカと呼ばれるスーパースポーツに搭載されるエンジンとなった。
2ストロードスポーツの最終形、つまり究極の2ストと言っていい1996年型RGV250Γ SPに乗ると、絶滅するのが惜しすぎる、2ストモデルの完成度を味わうことができる。
やはり2スト250ccのスーパースポーツは、思い切り軽く、パワーバンドに入った時の力強さが快感なオートバイだ。やはり軽さはスポーツバイクの絶対的正義で、加速が鋭く、ブレーキングが軽々と、さらにコーナリングも自由自在な乗り物なのだ。
走るも停まるも、寝かすも曲げるも思い通りにオートバイを動かせるのがスポーツバイクの条件だとしたら、やはり2ストエンジン車がなくなってしまったことが残念で仕方がない。
RGV250Γの生産終了から約25年。キャブレターはインジェクションに、ガソリンやオイルの質は上がり、電子制御も一般的になった今、RZ250誕生前夜のスピリット「技術の粋を集めて最後の2ストを作ろう」の想いは望むべくもないのだろうか。
スズキ「RGV250Γ SP」各部装備・ディテール解説
文:中村浩史/写真:松川 忍