今入手できるニンジャのひとつの基準にも捉えられる

2024年の今、GPZ900R=ニンジャを手に入れてカスタムして楽しみたい。2003年の生産終了からも時間が経っているから、まずは中古の良質なものを探すことが頭に浮かぶ。だが、入手以後の整備や、この項を読んでいる人なら当然のように考えるだろうカスタムのことを考えれば、ニンジャに強い、あるいは実績があるといったショップ選びが欠かせない。その両方の要素を、車両提供という形で実現したのがACサンクチュアリー。そしてその車両は、同店が手がけるコンプリートカスタムのRCMと言って良さそうだ。

RCM(ここで紹介する通算572台目のRCM-572以降ではRadical Construction Manufactureに統一。それ以前はReal Complete Machine)は2000年頃、ニンジャがまだ現役の頃に確立される。前後17インチの最新タイヤを履くことや、それにともなう車体側のディメンション変更。またダウンチューブ/ステップの一体連結によって車体剛性を高めるなどのシャシーアップデートメニューを施すのが主だった。エンジンはまだ良好なものが多く、中古の場合もそのまま使えることも多かった。

ニンジャエンジンを積むものが「RCM NinjaスポーツパッケージType-R」、ZRX1100/1200用などのニンジャ後継機エンジンを積むようにした仕様が「RCM Ninjaフォーミュラパッケージ」と区分される。うち、スポーツパッケージは’15年に「New Type-R」に変わる。ニンジャが生産終了して10年以上が経ち、程度の良いベース車が減ったためだ。

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必須となったエンジンのオーバーホール。これに合わせてA16モデル(ファイナルエディション)用純正対策パーツを組み込み、後継機の新品電装をニンジャに合わせて再配線して組む。フレームもフロントカウルマウントステーの基部の腐食を対策するなど、多くのレストア+αメニューの必要性が出て、これを製作メニューに盛り込んだ。

その詳細や使用パーツについてはサンクチュアリーのホームページに詳しいが、今製作されるRCMニンジャは、ここまでに述べた内容を施した「RCM Ninja New Type-Rスタートエディション」というパッケージで案内・販売される。

「ホイールも鍛造、前後サスやステム/スイングアーム。キャブレターやブレーキ系といったパーツもきちんと選んで、外装も純正または純正アレンジカラーでリペイントしていますから、このスタートエディションでも十分17インチニンジャを楽しめると思っています」と、サンクチュアリー・中村さん。

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「でもオーダーしてくださる皆さんはマスターシリンダーやブレーキキャリパーなど、そこから先の部分的アップグレードというかカスタムを必ずと言っていいほど行います。フルノーマル車両でなく、このNew Type-Rスタートエディションを今の当たり前のニンジャという捉え方をしてくださって、そこから上乗せ≒カスタム化する感じでしょうか。この車両もその典型的な例です。私たちも“今もニンジャが継続生産されていればこういう仕様になる”と想定してNew Type-Rスタートエディションを作ってきましたから、理解をいただけてありがたいです」

なお、この車両は既に空冷ZのRCMを所有するオーナーによるオーダーとのこと。仕上がりやカスタム内容について満足いくという判断で、ニンジャもRCMでと依頼したようだ。2024年春現在、New Type-Rスタートエディション(Ver.2023)の価格は468万円。中古からすべてを一新し新車並みにしたというだけでなく、その上に現代的アップデートを施したものがベースとなる。今ならではの確実なベース。だからこそカスタム化もより魅力的になる。New Type-Rはそんな1台と考えていい。

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Detailed Description 詳細説明

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スクリーンはナイトロレーシング。ステアリングステムはスカルプチャー TYPE-1で、オフセットは純正の40mmから37mmにして前後17インチで必要なトレール量を確保する。メーターは純正ベースにヨシムラ・プログレスメーターを追加、バータイプを選択したハンドルはデイトナRCMコンセプトだ。

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フロントブレーキおよびクラッチのマスターシリンダーはラジアルポンプ/レシオ変更可能なブレンボRCSをマウントする。

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外観はA8カラーをアレンジしてレッド×ブラックでフルペイント。シートはデイトナRCMコンセプト・COZYシートで、こうした各部パーツからもRCMの定量化=破損時にもすぐ戻せる、好適な形状や機能/数値などがばらばらにならず統一できるなどという部分も読み取れる。

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フレームのスイングアームピボット下(スイングアームに挟まれたメイン部下から左右に伸び、ステッププレートを支持する部分)はいったんカットして外向きに延長・再溶接され、ワイド化したリヤタイヤに応じたチェーンラインを確保する。バックステップKITおよびクラッチレリーズプレートはナイトロレーシング。

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水圧検査に始まりフルオーバーホールメニューを受けるエンジン。φ73mmのヴォスナー鍛造ピストンで930cc仕様とし、内燃機加工を専門に行うDiNx社でクランク曲がり修正/ダイナミックバランス/ジャーナルラッピングする。New Type-R専用焼結合金オーバーサイズバルブガイドもDiNxで入れ替え、シートカットも行う。外観はガンコート仕上げ。冷却系もナイトロレーシングビッグラジエーターなどで強化。フレームもチェック/修正に加えた上で、ナイトロレーシング・コンビネーションKITIIIも加えている。

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キャブレターはTMR-MJNφ38mmをヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様で装着。2段のファンネルは車体色に合わせた黒と赤をチョイス。

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フロントフォークはノーブレストE×MパッケージによってオーリンズRWUを装着、フロントフェンダー/キャリパーサポートも同パッケージ同梱品。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4ピストンキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク“RCM”コンセプトφ320のホールタイプを使う。

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リヤサスはオーリンズ17インチ適合のKA203をスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアームに組み合わせる。ドライブチェーンは強度を確保しつつプレート幅を詰めたナローボディの江沼チヱン製EL530RCMのBK;GP(ブラック×ゴールド)だ。

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リヤブレーキはブレンボ2Pキャリパー+サンスター・トラッドディスクで前後ホイールはO・Zレーシングのアルミ鍛造、GASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズを履く。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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