純正スペックの中に時代の進化が採り入れられる

スクリーンやカウルなど独特のスタイルをキープした外装に作動の軽いクラッチホルダー、純正フロントフォークの動きをしっかりさせてくれるインナーキットの鬼脚(ききゃく)。最近では純正2本出し形状をそのままに素材をステンレス(菊砲)/チタン(桜砲)で置き換え、耐候性・耐久性にも配慮しつつ軽量化や上質化が図れるマフラーを。さらには純正廃番を補完するエンジン系パーツに、機能拡張も視野に入るPE3ユニットなどの電気系パーツ。

オオノスピードが開発/製作、あるいは発案して調達する空冷カタナ用パーツはじつに幅広く、そして実用的でもある。代表の大野さんがカスタムブーム以来、レースにストリートに、17インチも18インチもノーマルもとカタナに乗りまくり、これはどうだ、こうするとどうなるかという手法やパーツを試してきたこと。その中から新製品が生まれ、改良も重ねられ、使われるうちに定評を得てきたというバックグラウンドがある。

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車両作りもそうしたパーツ同様の背景を持っていて、この車両はそんな大野さんの手法を反映した近作だ。

「以前に“雪風”(太平洋戦争を生き抜いた駆逐艦の艦名にちなんだ)。というコンプリートカタナを作っていたのですが、それがほしいという依頼を受けたんです。車体の補強は雪風に準じています。ネック部周辺のプレートや背面後ろ側のコの字プレート追加、メインフレームのキャブレター後ろを2重管にしています。シートレール/リヤサスアッパー/ピボットの作る三角形の内側もプレートを入れたりもしています。17インチ向きでもあるんですけど、今は純正に同じフロント19インチでもグリップが昔の17インチくらい上がってきてますから、この補強でしっかり感も感じられます。リヤは純正のように見えますけどホイールはじつは純正17インチでなくて、750S用の18インチ。これは18インチの方がタイヤが選べるから。純正のフロント19インチって、大径で荒れた路面や急な変化に強かったり、細身な分操作感もあったりで、結構いいんですよ。エンジンは状態がいいのでノーマル、サスはこの19/18インチ仕様に合わせてセット出しもしてます」

なるほどと思わせてくれる手法。かつての経験はタイヤを初めとした社外各パーツの進化によって、数値だけ見ると純正と思えがちな部分のポテンシャルが広がったことにより、応用できる範囲も広げていた。

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冒頭の鬼脚インナーキットもφ37mmインナーチューブという純正の数値をそのままに内容や作動性を大幅にアップさせるし、そのフォークをクランプできるφ37mm適合のトップブリッジも削り出しで剛性感を高め、サス性能を生かしてくれる。純正形状を生かしたシートもそうだし、上がったタイヤ性能を制動という面でも引き出すブレーキまわりの強化に軽くなった作動を生かすドライブチェーンの520サイズへのコンバートもそのひとつと言っていい。

純正スペックとは言ったが、オオノスピードの作るオリジナルパーツは、純正の数字の中に現代性能を持たせるべく進化している。それらを生かし、純正ルックと乗車時の手応えの中に一段も二段も高い性能や使いやすさも高めた。ここまでのカタナの歴史、そして多くの車両の履歴や経年を見てきたからこそ、これからが考えられる。そう考えられた車両。長く、安全に楽しめる見本のひとつとして、参考にしていい1台だ。

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Detailed Description 詳細説明

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ハンドルは純正セパレートをブラック仕上げ。フロントマスターはブレンボRCS、クラッチホルダーもオオノスピードオリジナルで作動を軽くする。クリアスクリーンもオオノスピード製を使う。

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トップブリッジは純正に同じ50mmオフセットでアルミ削り出しのオオノスピード・削り出しトップブリッジに変更。左側にヨシムラ・プログレス2メーター(油温/電圧/時刻等表示)、ドラレコ用フロントカメラを追加した。

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きれいに仕上げられた外装。燃料タンクのSUZUKIロゴはペイント仕上げで、文字の中に桜の花冠と花弁が描かれている。

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オリジナル形状をキープした綾織りカーボン製テールカウルやフロントカウル、ナンバーホルダーはオオノスピードの製品でその左横にドラレコのリヤカメラをセット。シートはスプリームシートを使う。テールカウル左横に見えるアシストグリップはオオノスピードオリジナルのステンレス製で、ショックのリザーバーとも干渉しない。

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エンジンは状態良好の1074ccノーマルでオイルキャッチタンクはヨシムラ。電装も一新、フレームやエンジン外観も新品同様にリフレッシュする。

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キャブレターはヨシムラTMR-MJNφ35mmを3Dエアフィルター仕様で装着する。組み合わさる排気系はアサヒナレーシング製チタンだ。

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ステップは純正そのままだがボルト類やバー上面ラバー等に新品を使い、美しさもアップしていると分かる。

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フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパーにサンスター・ネオクラシックディスク、HELブレーキラインの組み合わせ。フロントフォークは純正φ37mmにオオノスピード鬼脚(ききゃく)でセットアップ、フロントホイールは純正1.85-19サイズを履く。

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リヤブレーキはブレンボP2-RS84キャリパーを上置きしてサンスター・プレミアムレーシングディスクと組み合わせる。

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アルミスイングアームはカタナ純正でオーリンズ・フルアジャスタブルショックをセット。リヤホイールはタイヤ選択肢を広げるためGSX750S純正2.15-18(1100S純正は2.50-17)を履き、ドライブチェーンはRKの520XXWをチョイス。

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ネック部周辺にプレートを張り、ボックス形状を構成して補強。副次的に配線はここを通してすっきりした見た目も作りこんだ。

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背面後ろ側の左右連結バー後ろ(写真では中央よりやや右上)の上下にコの字状のプレートを追加。またキャブレター後ろのメインチューブにはハーフパイプを被せる。

取材協力:オオノスピード

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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