MT-09の上級グレード「SP」が2024年7月に発売された。前後フルアジャスタブルサス、オーリンズ製リアショック、ブレンボ製キャリパーにシリーズ初のスマートキーも標準装備して、機能性もパフォーマンスも大きく高めた注目の一台だ!
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

ヤマハ「MT-09 SP」インプレッション(宮崎敬一郎)

画像: YAMAHA MT-09 SP ABS 2024年モデル 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:825mm 車両重量:194kg 発売日:2024年7月24日 税込価格:144万1000円 ※撮影車両のリアキャリアはオプションパーツ

YAMAHA 
MT-09 SP ABS
2024年モデル

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:825mm
車両重量:194kg

発売日:2024年7月24日
税込価格:144万1000円

※撮影車両のリアキャリアはオプションパーツ

機敏なフットワークをあらゆる峠で楽しめる

MT-09 SPは、これまでもそれぞれの世代ごとにラインアップされてきた。前後のサス設定だったり、サスそのものを大幅にグレードアップするのがSPの特徴で、世代によっては、モタード的なドリフトまで意識したスタンダードのスタビリティを高めてコーナリングファイターに仕立てたり、毎世代、スタンダードとは走りのキャラクターさえ変えてしまうほどのセットアップが特徴だ。

新型MT-09 SPのフォークはスタンダードと同じKYB製だが、そのグレードは兄弟モデルであるXSR900 GPと同等のハイグレードサス。フルアジャストでDLCコートまで施され、より滑らかな作動性を求めている。リアショックはオーリンズ製だ。

このSPが素晴らしいのは、MTシリーズらしく、サーキット専用のハードなセットアップにはしていないこと。荒れた路面にも対応できるしなやかな動きと程よいトラベル量を持っている。これはリアのオーリンズもそうで、しなやかなバネと、非常にカバーレンジの広い減衰力を備えている。

あらゆるタイプの峠道で、その威力を体感できるだろう。もちろん、サーキットでのスポーツ走行でも、SSのようなペースで走れる構成だ。

画像: ヤマハ「MT-09 SP」インプレッション(宮崎敬一郎)

ライディングアシスト類の個別セッティングもスタンダードと同様のライディングモードを備え、トラコンやウイリーコントロールなどを個別に設定できるモードも用意。トラックというスポーツランに特化したセットアップモードも用意されており、こちらもイジり出したらキリがないほど楽しめる。

MT-09の特徴は、そのショートホイールベースと程よいフロントの軽さから機敏なフットワークができること。SPは急激な挙動を乱暴に繰り出してもまず踏み抜けない。サスに上手く加重できないようなカントの弱いコーナーの通過などでも、スタンタードでは実現できないスタビリティを発揮する。

安心感がまるで違うから、コーナーのアプローチからペースにゆとりが生まれるし、リーンさせてからもその分、旋回性の立ち上がりが鋭い。アップライトなライポジの関係だが、150m/h前後までのスポーツライディングでの使い勝手の良さ、忠実でキレのある動きはSSとて侮れないはずだ。このクラスのスポーツネイキッドとしてはアタマひとつ抜き出た俊速スプリンターだと言っていい。

MT-09にはスタンダードのほか、XSR900とGP、それにトレーサー9シリーズといったファミリーモデルが多数ある。その中でこのSPは、最もスポーツライディングに貪欲で、ハイグレードな足まわりを持ったモデルだ。

価格がほぼ同じXSR900 GPと走りを比較すると、落ち着きと扱いやすさのGPに対し、MT-09 SPは速さや鋭い機動性が光るセットアップになっている。じっくり乗り込んでセッティングすれば、GPでもハイレベルな走りを楽しめるが、機動力はMT-09 SPに軍配が上がる。

This article is a sponsored article by
''.