文:バイカーズステーション編集部、松田佳之/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。
カワサキ「Z1-R(Z1000-D1)」各部装備・ディテール解説

2連メーターの上に燃料計と電流計を装備。速度計は160mph (欧州仕様は240km/h)、回転計は900cc時代初期より500rpm低い8500rpmからレッドゾーン。回転計に内蔵されているインジケーターは、北米では3個で、ヘッドランプ、ハザード、断線時に点灯するテールとストップランプ用の構成。欧州仕様ではストップランプ1個だ。中央部のインジケーターは欧米共通で、上からニュートラル、ハイビーム、オイル、ウインカー。

燃料タンクは合わせ面をさらけ出す外プレス方式を採用しているが、手動溶接のハンドメイド。Z1の56cmより長い62cmとしながら、上下に薄いため容量は13Lと少ない。シティラン程度の短距離なら充分と考え、カフェレーサーとしてのスリムなスタイル造りを優先させた結果だ。しかしヨーロッパではあまりにも小さいと問題になり、22Lタンクが製作されることになる。

Z1000をベースにVM28SSキャブと4-1のEXシステムを採用し、最高出力は90HPに。エンジンの塗色は初期のZ1と同じ黒とされた。キックスターターを引き続き採用するが、キックアームはシート裏面に格納されている。

1978年のZ1000-A2では、フロントフォークの前側にあったブレーキキャリパーを後ろ側に移動、操舵系の慣性重量を軽減する改良を実施。同年デビューのZ1Rもこの手法を取り入れている。多くの孔が整然と並ぶΦ296mmソリッドディスクは独自の装備だ。

リアブレーキはZ1000-A1/A2と同様にΦ290mmディスク+対向式2ピストンキャリパーだが、ディスクはフロントと同様な多孔タイプを使用。厚さは、フロントの5mmに+2mmの7mmとされる。

スイングアームの実測値はΦ41.3mm、軸間495mm(チェーン引きは中央)。マフラーのない左側はいたってシンプルな姿。

厚みがあるZ1/Z1000とは異なり、薄型で細長い形状のシートを採用。全長はZの67cmに対し70cm(実測値)。グラブバーを持たないため、北米仕様車にもタンデムベルトを装備する。

直線的なデザインを構築するため、シート両側にあるボディカラーと同色のモールを車体側に残してシートを外す方式をとる。エアクリーナーボックスは騒音規制に対応するためZ900で1.5Lから4.4Lになり、1000で2穴の吸音ボックスが追加された。

カウルやタンクに合わせ、テールカウルも小ぶりの角張ったデザインになった。ウインカーも角型で、写真の北米仕様に対し、欧州仕様はやや後方にマウントされる。前述したように、従来のような回り込んだ形状の大きなグラブバーを採用しなくなったが、リアショックの上部に小型のものを備えている。
カワサキ「Z1-R(Z1000-D1)」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2160×800×1295mm |
ホイールベース | 1505mm |
最低地上高 | 125mm |
シート高 | 815mm |
乾燥重量 | 246kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1016cc |
ボア×ストローク | 70×66mm |
圧縮比 | 8.7 |
最高出力 | 90HP/8000rpm |
最大トルク | 8.7kg-m/7000rpm |
燃料供給方式 | VM28キャブレター |
燃料タンク容量 | 13L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 26.0゜ |
トレール量 | 85mm |
ブレーキ形式(前・後) | Φ296mmダブルディスク・Φ290mmシングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 3.50H-18・4.00H-18 |
文:バイカーズステーション編集部、松田佳之/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。