大ヒットモデルZ1だが、ライバル車の登場で、その勢いが失われ始めた1977年、カワサキは新しいZを誕生させた。従来とはまったく異なる角形を基調とした斬新なスタイルによりカワサキは新しい個性を確立したのである。
文:バイカーズステーション編集部、松田佳之/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。
文:バイカーズステーション編集部、松田佳之/写真:平野輝幸
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カワサキ「Z1-R(Z1000-D1)」特徴
世界中のマニアを魅了したカフェレーサー・デザイン
ヨーロッパの耐久選手権、アメリカのスーパーバイクなど、レースでの活躍をZに反映させるため、“R”という文字を冠したZ1-R(Z1000-D1)は、1977年に公開された。当時、“カフェレーサー”と呼ばれるカスタムバイクが世界的に流行しており、世界中のメーカーがこれに追随したさまざまなモデルを登場させていたが、カワサキもこうした流行に加わることを決定したのである。
が、ヨーロッパ製カフェレーサーパーツの多くが曲面構成であったのに対し、カワサキはエッジの効いた直線フォルムを造り上げた。これは手の入れようがないほどに完成されていたZ1スタイルから自ら脱却するための手法でもあったが、斬新なZ1-Rの造形は、万人受けはしなかったものの世界中の熱狂的なマニアに高く評価された。高価格と発売直後のリコール、さらには強力なライバルたちが出現する中で1万7000台を生産。後のカワサキ車にも多大な影響を与えた。
Z1R-TC
アメリカではなんとターボチャージャーを搭載した"Z1R-TC"がディーラー車として市販された。初期の銀(STDと同色)は1978年度に220台、ブラック地のII型は280台が造られたという。